ガゾーン関門北九州圏

2007年11月03日更新

北九州市立中央図書館

設計・施工
磯崎新(設計)、奥村組(施工)
竣工・規模等
1975年03月竣工、RC、地上2階地下2階塔屋1階、敷地面積1万7074㎡、建築面積3612㎡、延床面積9251㎡
場所
北九州市小倉北区城内4-1
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大階段広場 2002年12月撮影

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東側側面(改装工事中) 2005年05月撮影

あらまし

北九州市立中央図書館は、都心の勝山公園に立地する市の図書館施設。かつて併設した市立歴史博物館は2002年開館のいのちのたび博物館に集約された。2006年に空き部屋に市立文学館を新設し、現在に至る。

北九州市の図書館運営は1963年の新市発足以前に旧市が設置した図書館が出発点になっている。新市はこれらを北九州市立の図書館として継承したが、全体を束ねる中心施設を持たなかった。そこで、1975年に小倉図書館を廃止して新たに中央図書館を設置し、各地の図書館を地区館と位置づけて、現在の大枠が整った。

北九州市では新市発足後も各地に図書館があるという分散の利便性を追及する方向に進み、中央図書館の機能強化は図られなかった。このため、市立図書館全体としてみれば別だが、中央図書館単独で見た場合の規模や蔵書は他は政令市と比べて大幅に見劣る。

建築計画

設計者の磯崎新は時代に立脚した上で、自らの芸術を追求する人だ。1970年代には1970年代風の、1990年代には1990年代風の設計をした。

北九州でもその傾向ははっきりと見て取れる。1970年代は北九州市立美術館(1974)のような合理主義、機能主義に則った幾何学形状の権化を手がけ、1980年代終わりには北九州国際会議場(1990)のようないわゆるバブル建築を手がけた。

嫌いな方に言わせれば迎合的ということになろうが、建築は音楽などの純粋芸術とは異なり、自らの思索や理念を純然と具体化する機会はなく、常に与えられた課題に取り組む必要がある。磯崎はまずは期待通りに課題を解決し、施主を納得させた上で自らの理念なり独自性を発揮する余地を開拓した。

建物としての北九州市立中央図書館は、第17回建築業協会賞(BCS賞)の受賞作品。小倉城内(勝山公園)の斜面地にあり、斜面を大階段広場で処理し、折れ曲がるカマボコ形の建物を配置する。正面をU字形に丸めて厚みを出し、食堂部分にモンローカーブをあしらうなど見所が多い。

半円筒ボールドの青銅屋根がよい具合に風化し、コンクリートの壁面を蔦が覆ってよい雰囲気だった。2006年の市立文学館開館の折に屋根が塗り替えられ、蔦が剥ぎ取られた。竣工当時の姿に戻ったといえるが、なにか痛痛しい。建物は一般に竣工直後が最良で、後は汚れてくたびれてゆく一方だが、この建物は歳月を重ねて風格を増していた。

内部の図書室は緩いスロープの通路沿い並ぶ。それぞれの部屋に壁はなく、大空間の中でスロープに合わせて段段畑風に段差を設けることによって部屋を分ける。行き来が自由な一方で、部屋の区切りもはっきりして利用しやすい。

前年竣工で森の中にある北九州市立美術館や群馬県立近代美術館が直方体なのに対し、この図書館は丸い。角が取れると柔らかな印象を受けるが、斜面を問答無用でコンクリートで覆って階段にする処理などは1970年代風だ。

この建物は北九州市立美術館ほどには自然に対して制圧的・対峙的ではない。それは、立地環境が自然の小山ではなく、小倉城内という人工の箱庭にあることと関係があろう。人間に飼いならされた自然とは、対峙・対立する必要がない。

参照記事(他サイト)
北九州市立中央図書館 - 建築業協会
磯崎新 作品 - 五十嵐太郎
関連項目(ガゾーン内)
北九州市立美術館 - 磯崎新設計。丘の上の双眼鏡
西日本総合展示場 - 磯崎新+川口衞の設計。単純明快な吊り天井
北九州国際会議場 - 磯崎新設計。バブル期の悪乗り建築

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