2009年8月24日更新
大階段広場から中央図書館を望む ※クリックで全景 2009年4月
大門木町線側 右は勝山公園 2009年4月
大門木町線から望む 正面奥のトンネル右壁が図書館の表玄関、左壁が市立文学館の表玄関 2009年4月
東側 改装工事中 勝山公園も再造成中 2005年5月
図書館の吹き抜けから表玄関を望む 玄関上は自習室 2009年4月
緩い傾斜の通路 2009年4月
段々畑の図書室 空間は繋がるも、いったん通路に出なければ隣室へは行けない 2009年4月
図書館の玄関横からリバーウォーク北九州を望む 2009年4月
北九州市立中央図書館は、北九州都心の勝山公園に立地する図書館を核とした文化施設。市立中央図書館、市立勝山こどもと母のとしょかん、市立文学館、放送大学北九州サテライトスペースが入居する。かつて市立文学館の位置にあった市立歴史博物館は、2002年開館のいのちのたび博物館に集約された。
北九州市の図書館運営は1963年の新市発足以前に旧市が設置した図書館を出発点とする。新市はこれらを北九州市立の図書館として継承したが、全体を束ねる中心施設を持たなかった。そこで、1975年に小倉図書館を廃止して新たに中央図書館を設置、各地の図書館を地区館と位置づけて、現在の大枠が整った。
北九州市では新市発足後も各地に図書館があるという分散の利便性を追及する方向に進み、中央図書館の機能強化は図られなかった。このため、市立図書館全体としてみれば別だが、中央図書館単独で見た場合の規模や蔵書は他は政令市と比べて大幅に見劣る。中央図書館はこの小さな建物の一角を占めるに過ぎない。
設計者の磯崎新は時代に立脚した上で、自らの芸術を追求する人だ。1970年代には1970年代風の、1990年代には1990年代風の設計をした。
北九州でもその傾向は見て取れる。1970年代は北九州市立美術館(1974)のような合理主義、機能主義に則った幾何学形状の権化を手がけ、1980年代終わりには北九州国際会議場(1990)のような装飾過多なバブル建築を手がけた。
嫌いな方に言わせれば迎合的ということになろうが、建築は音楽などの純粋芸術とは異なり、自らの構想を純然と具体化する機会がない。常に与えられた課題に取り組む必要がある。磯崎はまずは期待通りに課題を解決し、施主を納得させた上で自らの芸術を追求した。
北九州市立中央図書館は北九州市を代表する現代建築の一つ。第17回建築業協会賞(BCS賞)の受賞作品。小倉城内(勝山公園)の斜面地にあり、緩い斜面を大階段広場につくり変え、折れ曲がるカマボコ形の建物を配置する。角をU字形に丸めて厚みを醸し、食堂部分にモンローカーブをあしらうなど見所が多い。
半円筒ボールドの青銅屋根がよい具合に風化し、コンクリートの壁面を蔦が覆ってよい雰囲気だった。2006年の文学館開館の折に屋根が塗り替えられ、蔦が剥ぎ取られた。竣工当時の姿に戻ったといえるが、歳月を重ねることで備わった風格が損なわれ、醜かった。改装から3年が経過して、ようやく見られた姿に戻ったという感じだ。
内部の図書室は緩いスロープの通路沿いに並ぶ。それぞれの部屋に壁はなく、一つの大空間をスロープに合わせて段々畑風に段差をつけることで部屋を分ける。段差のおかげで見晴らしがよく、三つ向こうの部屋が見えるが、あちらの部屋へ行くにはいちど通路に出なければならず、空間の区切りは明確になっている。
前年竣工で森の中にある北九州市立美術館や群馬県立近代美術館が直方体なのに対し、この図書館は丸い。角が取れると柔らかな印象を受けるが、斜面を問答無用でコンクリートで覆って階段にする処理などは、いかにも1970年代風だ。
一方で、この建物は北九州市立美術館ほどには自然に対して制圧的・対峙的ではない。それは、立地環境が自然の小山ではなく、小倉城内という人工の箱庭にあることと関係があろう。人間に飼いならされた自然とは、対峙・対立する必要がない。
2007年11月3日作成、2009年8月24日更新
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Kitakyûsyû Municipal Central Library