ガゾーン関門都市圏

2011年4月29日更新

西日本総合展示場

設計・施工
磯崎新(設計)、川口衞(斜張ケーブル構造設計)
竣工・規模等
1976年5月起工、1977年5月竣工、延床面積1万1088㎡
場所
北九州市小倉北区浅野3-8-1
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東側玄関と本館に挟まれた中庭付近 2005年6月

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斜めに張った鉄鋼線で屋根を吊り上げる 2005年6月

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西側から俯瞰 右奥に写る黄色い建物は磯崎設計の北九州国際会議場 2011年4月

あらまし

西日本総合展示場は、西日本産業貿易コンベンション協会が運営する展示施設。協会は経済産業省認可の財団法人で、理事長が北九州商工会議所会頭、副理事長が北九州市長と福岡県知事、理事は九州山口各県の知事という政経癒着の見本市のような団体だ。

最近の施設は「コンベンションセンター」とカタカナで呼ぶことが多い。西日本総合展示場はその先駆けだった。小倉駅北口という好立地もあって、その名の通り西日本のコンベンション需要を20数年間に渡って一手に担った。1998年に総展示面積1万5000㎡の新館を加えて現在にいたる。

磯崎の北九州三連作

西日本総合展示場は磯崎新の北九州三連作の一つだ。1974年に北九州市立美術館、1975年に北九州市立中央図書館、1977年に西日本総合展示場が竣工した。

「西日本を代表する」が枕詞の鳴り物入り大型施設を一つの都市で立て続けに三棟も手がけたのだから、当時の北九州市が磯崎に寄せた信頼は絶大だった。磯崎も北九州市の都市計画に関心を寄せ、両者は相思相愛の関係にあった。

「丘の上の双眼鏡」の異名を持つ美術館が竣工し、モンローカーブをあしらった図書館が竣工して、市民の関心はいやがうえにも高まった。三連作の取りを飾る展示場は、残念ながら先行した二作品と比較して影が薄い。

展示施設は空間を造り込むことが許されない。「がらんとしたなんの変哲もない四角い箱」が施主の要求なのだから、独創的な建築家にはかえって難しい課題だったろう。

さらに西日本総合展示場の場合、周囲になにもない埋立地という単調な立地だった。丘の上に立地する美術館や、斜面地に展開した図書館のように、立地条件を克服する必要がない。課題といえば大空間を実現するための屋根の構造だけであり、磯崎もここではもっぱら技術的な部分に着目した。

吊り天井

西日本総合展示場は170m×42mの無柱空間を実現するために、斜めに張った鉄鋼線で屋根を吊り上げる。全景は平べったいタンカーのような形で、クリーム色の枠の内側にコンクリートの積載物(本館)を沈める。

林立する鉄鋼線の塔は帆柱のように見える。あるいは、建造中の船のめぐりにクレーンが立っているように見える。俯瞰すればドッグ入りした船のようだ。正面玄関は舳先に当たる部分にあり、磯崎が得意とした中庭(野外展示場)を介して本館へ入る。しかし現実の利用では側面から入ることが多い。駐車場が側面にあるからだ。

この展示場のタコマ通り向かいには北九州国際会議場(1990)がある。技術に奉仕した展示場のすぐ隣で、磯崎は13年後に自らの感性を主張する機会を得た。二つの方向性の異なる建築を併せて見学すると興味深かろう。

2005年7月9日作成

資料

参照記事(外部サイト)
なし
関連項目(ガゾーン内)
北九州市立美術館 - 磯崎新設計。丘の上の双眼鏡。
北九州市立中央図書館 - 磯崎新設計。斜面地にカマボコ形の建物を配置。
北九州国際会議場 - 磯崎新設計。バブル景気の悪乗り建築。
唐戸市場 - 池原義郎+斉藤公男。斜張式+張弦梁構造の大屋根。
アジア太平洋インポートマート - FAZの中核施設。大味かつ鈍重。

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