2005年07月09日更新
西日本総合展示場は、西日本産業貿易コンベンション協会が運営する展示施設。協会は経済産業省認可の財団法人で、理事長が北九州商工会議所会頭、副理事長が北九州市長と福岡県知事、理事は九州山口各県の知事という政経癒着の見本市のような団体だ。
最近の施設は「コンベンションセンター」とカタカナで呼ぶことが多い。西日本総合展示場はその走りだった。小倉駅北口という好立地もあって、その名の通り西日本のコンベンション需要を20数年間に渡って一手に担った。1998年に総展示面積1万5000平米の新館を加えて現在にいたる。
西日本総合展示場は磯崎新の北九州三連作の一つだ。1974年に北九州市立美術館、1975年に北九州市立中央図書館、1977年に西日本総合展示場がそれぞれ竣工した。
「西日本を代表する」が枕詞の鳴り物入り大型施設を一つの都市で立て続けに三棟も手がけたのだから、当時の北九州市が磯崎に寄せた信頼は絶大だった。磯崎も北九州市の都市計画に関心を寄せ、両者は相思相愛の関係にあった。
「丘の上の双眼鏡」の異名を持つ美術館が竣工し、モンローカーブをあしらった図書館が竣工して、市民の関心はいやがうえにも高まった。三連作の取りを飾る展示場はさほど市民に愛されなかった。展示施設は空間を造り込むことが許されない。「がらんとしたなんの変哲もない四角い箱」が施主の要求なのだから、独創的な建築家にはかえって難しい課題だったろう。
さらに西日本総合展示場の場合は、周囲になにもない埋立地という単調な立地だった。丘の上に立地する美術館や、斜面地に展開した図書館のように、立地条件を克服する必要がない。課題といえば大空間を実現するための屋根の構造だけであり、磯崎もここではもっぱら技術的な部分に着目した。
西日本総合展示場は170m×42mの無柱空間を実現するために、斜めに張った鉄鋼線で屋根を吊り上げる。全景は平べったいタンカーのような形で、クリーム色の枠の内側にコンクリートの積載物(本館)を沈める。
林立する鉄鋼線の塔は帆柱のように見える。あるいは、建造中の船のめぐりにクレーンが立っているように見える。俯瞰すればドッグ入りした船のようだ。舳先に当たる部分が正面玄関で、磯崎が得意とした中庭(野外展示場)を介して本館へ入る。しかし現実の利用では側面から入ることが多い。駐車場が側面にあるからだ。
この展示場の道路向かいには北九州国際会議場(1990)がある。技術に奉仕した展示場のすぐ隣で、磯崎は13年後に自らの感性を主張する機会を得た。二つの方向性の異なる建築を併せて見学すると興味深かろう。
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West Japan General Exhibition Center