2010年4月10日更新
北九州プリンスホテル
アーケード「ペペ」(撤去)
北九州プリンスホテルは、三菱化学が黒崎副都心南側の自社社宅跡地を独自に再開発し、プリンスホテルに運営を委託した都市型リゾート施設。220室の都市型リゾートホテルのほか、商業施設として延長約300mのアーケード「ペペ」、スポーツ施設として「プリンスアリーナ」、テニスコートがあった。
設計者の池原義郎はこのリゾート施設に加え、隣接地の黒崎テクノプラザⅠ(1993)と、三菱化学東王子社宅(16棟、1987)も設計した。池原の建築は凝ったものではないが、ゴシック様式よろしく空に伸びる感覚が共通項だ。ホテル棟は板チョコ形のつまらない形をしているが、平の中央にエレベーター塔を設け、両翼の塔屋を三角形に処理しただけで、大鷲が翼を広げているように見える。
アーケード「ペペ」は、緩やかな斜面地を巧みに利用して、山手通りからホテルまで南北に伸びる、キリスト大聖堂の身廊のような連続空間。ただし、模倣ではなく記号化・抽象化の手順を踏んでから用いる。一直線のアーケードの単調さを避けるため、通路に段差や階段を設けて、一部店舗は出店風に通路にはみ出させた。都市型リゾートホテルらしい「晴れ」の感覚と遊び心を備える。
建物は第31回建築業協会賞(BCS賞)の受賞作品。照明普及賞も受賞した。竣工からたったの十数年でホテル棟を残して跡形なく解体撤去されたのが残念でならない。
北九州プリンスホテルは宿泊・商業・スポーツを複合させた上品で魅力的な施設だったが、あまりに東京風に洗練しすぎて、北九州では敬遠された嫌いがある。三菱化学は巨額の初期投資を回収できず、赤字を解消する目処がつかなかった。
2002年ごろに都市型リゾートの理想を捨てて現実路線に方針転換し、北九州市などが策定した「黒崎再生10年計画」に則ってイオンショッピングセンターを誘致する計画のほか、ペペを拡張して、複合映画館や大型書店、飲食店街、都市型温泉などを加える構想を打ち出した。
詳細は2004年末に発表という話だったが、西武グループはライバルであるイオンの進出に難色を示し、運営受託契約の解除を示唆して三菱化学を揺さぶった。その後、プリンスホテルとの契約が切れてホテルはホテルクラウンパレス北九州となり、ペペやプリンスアリーナは解体撤去された。跡地は2007年に野村不動産が取得した。
野村不動産が三菱化学の構想に則った大型複合娯楽施設の建設し、不動産証券化商品として売り出すはずだった。しかし米国発の不動産バブルが弾けて変調をきたし、土地を投げ売った結果、ひどく安易な開発に様変わりした。2010年に出現したのは、ダイキ、デオデオ、ハローディの郊外標準店舗だった。
2005年6月19日作成、2010年4月10日更新
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Kitakyûsyû Prince Hotel