2008年01月20日更新
アシスト21(北九州市総合保健福祉センター)は、保健・医療・福祉関係の専門機関が入居する複合公共施設。北九州市では1993年に高齢化社会対策総合計画を策定し、地域福祉を小学校区・行政区・全市の三層構造に再構築した。アシスト21はウェルとばた(2002)とともに全市を担当する中核施設で、全体に対して調整や支援する役割を担う。
来客施設としては1階に夜間・休日急患センターと福祉用具プラザ北九州、2階に公設民営の小倉北ふれあい保育所、6階に専門図書館の保健・医療・福祉情報センターがある。後は事務所などで、講堂、障害福祉センター、保健所、管理課、健康づくりセンター、精神保健福祉センターが入居する(2008年1月現在)。
建物はガラス建築にバルコニーの庇効果と格子の日除け効果を付加したのが特徴だ。こんなに大袈裟にガラスを覆い隠すのならガラス張りにしなければよかったのではないかという素朴な疑問が生じるが、日差しを鬱陶しく感じながらも採光に執念を燃やす日本人にはこれがしっくりするらしい。
毛深いファサードは最近のつるりとした建物を見慣れた目には斬新に見える。よろい戸状の格子が外壁にまといつくと化学工場の生産構造物のようでもあり、工業都市住民の琴線に触れる。中に入ったことはないが、格子の隙間から入る光が木漏れ日のように光と影の陰影をつくるはずだ。
ただ、夏場はやはり暑いようすで、2階の保育所は曇りガラスを白い幕で目張りし、庇や格子で日除けした窓でも白い幕で覆った箇所が目立つ。設計者の岡田新一は「九州の地域気候を踏まえ、夏を旨とする環境に配慮したデザインを行った」というが、掛け声倒れだろう。
外観は西側から見ると大型客船のようだ。1階の白い部分が舳先の形状で、その上のガラス部分は舳先側を丸めて、この部分の2~3階に象徴的な切り込みを入れる。側面には複合施設内の各機能のコミュニケーションを円滑にするために「チーズホール」と呼ぶ小さな吹き抜け空間を散りばめた。3~5階にある吹抜け、6~7階にある大穴がそれだろう。
日本人建築家の作品は全体の造形よりも細部に工夫を凝らしたものが多いが、これはまぎれもなく日本的な建築だ。
デザイン上は西側の舳先が建物の正面になるが、表玄関は正反対の2階にある。2階に玄関を設けたのは最寄のモノレール旦過駅から伸びる長大歩道橋に繋ぐためだ。この歩道橋が建設されて、障害者は旦過駅から道路に下りることなくアシスト21や市立医療センターへ行けるようになった。
ただ、北九州で鉄道は市民の足ではない。2000年国勢調査に基づく通勤通学時交通手段分担率によれば、鉄道はわずか16%。うち、モノレールの分担率は数%でしかない。利用者僅少の旦過駅に接続するよりも、身障者用の駐車場を用意したり、タクシー運賃を補助したりするほうがよほど価値があった。
北九州市は都心部で平面を完全快適に利用するための努力を怠り、安易に人工地盤や歩道橋をつくって自由な移動を制限し、上空の景観を汚してきた。旦過の歩道橋は駅と施設を往来するごく少数の身障者に利便を供するために、一般市民の利便性と都市の美観を犠牲にした最悪の都市計画だ。
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Assist 21 (Kitakyûsyû Municipal General Health Center)