2005年08月14日更新
北九州市立響ホール(北九州市立国際村交流センター)は、室内楽専用の響ホールと、北九州国際交流協会、八幡東生涯学習センターからなる複合施設。
施設名を公募したが、これといった作品がなく、応募作をすべて落選にして市が名づけた。しかし市の命名は市民の認知を得られず、施設内のホールの名称「響ホール」の名で知られる。「響」は響灘に由来し、北九州市を指す愛称としてこののち盛んに用いられるようになった。
建物は「知恵の輪」に着想を得て、幾何学的に曲がりくねるミラーガラスの筒を斜面地に這うように展開した。
建設地は皿倉山麓の地形が複雑な斜面に位置する。西側からは4階建てのミラーガラスの壁が立ち塞がっているように見える。一方、玄関へいざなう道路は建物の東側を通り、こちらからは上り坂に従って段段畑風にガラスの箱が並んでいるように見える。建物というよりは彫刻かなにかといった印象だ。玄関は坂道を登りきったあたりにある。
「気象や時間の変化により時時刻刻と建物の表情が変わり、自然の多様性を映しだす」と設計者の石井和紘はいう。「木木はガラスに映りこみ、その倍の数に増える。そして緑は皿倉山と繋がる」。
施設の核となる響ホールは毎年開催される北九州国際音楽祭の主要会場だ。座り心地のよい720の客席が舞台の周囲を取り囲むシューボックス形式を取り、強化ガラスを多用してCD時代のデジタルな音響を実現した。
音のキレがよい反面、残響時間は約1.8秒あり、全国に数あるクラシック専用ホールの中でも評判がよい。ただ、ホール付のスタンウェイは音がくすんで、このホールの音響特性と相性が悪い。ブランド志向の日本人はスタンウェイ信仰があるようだが、デジタルなホールにはヤマハがしっくりする。
ピアノ付の楽曲は不満が残るが、このホールで聞く弦楽は値なしにすばらしい。よい演奏なら夢心地だ。わたしは北九州に居着いて以来、このホールで過ごす時間を楽しみにしている。
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