2008年12月6日更新
北九州市営三萩野団地は、北九州市民球場の南側に隣接する市営団地。1990年代の北九州市は、都市に彩りを添える目的でいくつか凝った市営住宅を建設した。その「デザイナーズ・アパート」の一つ。老朽化した団地を撤去して、1998年に新しく建て替えた。南東に立地する量産タイプの松崎団地(3棟、11階建て)と見比べるとよい。
建物はコンクリート打放しの片廊下型集合住宅で、第一・第二団地が横に並ぶ。両者は内側の妻を対称軸として線対称の関係にある。内側の1階分を凹ませ、外側は9階から6階へ階段状に落とす。全体としては二山型だ。南側は黒い鉄骨で組んだ赤い手すりのベランダを設ける。北側は横縞を強調した開放廊下に赤いバルコニーをあしらう。
南側の区画道路の中央から敷地へ入ると、左手に一見するとよく分からないコンクリートの囲いがある。東半分が駐車場、西半分が集会場のこの建物は、一部を赤く染め上げ、玄関まわりはガラスブロックで処理する。わたしはこれがいちばん気に入った。最初は医院かなにかと思った。
その先は左右に分かれて、それぞれの玄関へ向かう。三萩野団地は市営団地にしては立派な玄関ホールがある。しかし、北側の階段室が開放されていて、建物へはどこからでも自由に出入りできる。屋上の階段状部分はかつて長椅子を置いた小さな広場だった。防犯意識が低かった時代の開放的な設計だ。
外観の意匠は市営片野団地(1995)の類型であり、設計者は同一人物だろう。ホームランボールの放物線を模したアーチが特徴の片野団地と比較すればおとなしい印象だが、三萩野団地では規模の大きさを生かした設計が随所に見られ、こちらのほうが見ごたえがある。時代の要請とはいえ、屋上広場の撤去は残念でならない。
2008年7月5日作成
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Kitakyûsyû Municipal Mihagino Housing