2009年12月27日更新
西海岸の海峡ドラマシップ付近から眺めた門司港レトロハイマート(左)と門司港ホテル(右)
第8プリンスマンションから眺めた門司港レトロハイマート
第二船溜のめかり公園側から眺めた門司港レトロハイマート
門司港レトロハイマートは、門司港第一船溜の北岸に立地する超高層の分譲共同住宅。最上階は北九州市の門司港レトロ展望室が占める。鼠色の壁面にベランダを埋め込み、小さな窓を並べた外観はマンションの常識からかけ離れる。印象的な頂上部はヘリコプターが空中停止するための緊急救助用スペースで、着陸はできない。
建設地には門司港最古の赤煉瓦倉庫、三菱倉庫があった。バブル景気のころ地元マンション業者のトリオ工業が買収、門司港レトロ事業を始めたばかりの北九州市へ高値転売することを企てたが、価格で折り合わず、同社は市の牽制を振り切って歴史的建造物を撤去した。このとき救済された赤煉瓦の一部は、後に屋根が落とされ門司港レトロ駐車場となったムラモト倉庫の壁面に移植されて、往時を偲ばせている。
この後、トリオ工業は景観を著しく損なう板チョコ形マンションを計画し、北九州市や地域社会といっそう深刻に対立した。北九州市が建築確認申請を保留したところ裁判沙汰に発展し、地裁の調停の下、最終的には北九州市が設計費を負担して計画変更した。超高層化は容積率を落とさず景観を阻害する横幅を狭くするための処置だった。この一連のごたごたに懲りた北九州市は景観条例を強化した。
設計者の黒川紀章は「懐古趣味のまがい物に堕落するのではなく、百年後に『平成のレトロ建築』として愛される建築を目指した」という。これを聞いた北九州市は「ずいぶん自信がおありなのですね」と嫌味を言ったが、似非懐古を本物のレトロに混入して憚らない北九州市よりは、よほど見識が高いのではないか。
2007年11月4日作成
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Mozikô Retro Highmart (Condo.)