2008年10月19日更新
大谷体育館 背景の高架は北九州都市高速5号
大谷体育館は、新日鐵八幡製鐵所が所有する体育施設。中央町の南、新日鐵大谷スポーツゾーン内にある。大谷にはこの体育館のほか、武道場やプールなどもあり、17名のオリンピック選手を輩出した。往時の八幡製鐵の威力が知れる。
旧大谷体育館(1955-1999)は都市高速5号の建設に伴って撤去されたが、アントニン・レーモンドの設計だった。コストをかけず内部に50m四方の平面を確保するために、両側の観客席を支える曲がり梁の上にトラスをピン接合して屋根を造った。橋梁によく似た構造で、当時の先端技術を結集した建物だった。
優れた意匠は歳月を経てなお輝きを増すが、先端技術は陳腐化するのが早い。個人的には撤去するには惜しい建物だったと思うが、保存しようという声はどこからも聞こえてこなかった。
後継作は東畑建築事務所の設計。北九州市内では官公庁や集合住宅、食品スーパーなども手がけているが、北九州穴生ドーム(1994)や小倉競馬場(1999)などの大規模な体育施設で存在感を示している。
新しい大谷体育館では「見る」から「参加する」への利用形態の変化を捉え、コミュニケーションの場としてのあり方を追及した。すなわち、集客施設から練習場へ格下げされた。これに伴い、更衣室や休憩コーナーなどを充実させ、日日の利用者の使い勝手に配慮した。多目的ホールや会議室なども備える。
建築としての特徴は乏しい。屋根を凹型に処理して採光や採風したが、最近の体育施設では定番だ。製鉄業者の体育館ということで、鋼材を「使う」だけでなく「見せる」ことを心がけ、鉄の質感を感じられるデザインを取り入れたというが、外部からはその特徴が窺えない。
2005年6月1日作成、2008年8月31日更新
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