2009年5月27日更新
大手町ビル 正面全景
大手町ビル 表玄関
大手町ビル 正面水場
大手町ビル 1階 交流広場 学生の学習室になっている
南隣の業務ビル、大手町アイビースクエア
大手町ビルは、財団法人アジア女性交流・研究フォーラムが管理運営する北九州市立男女共同参画センター「ムーブ」を核とした文化系の複合公共施設。設置目的は「男女共同参画社会の形成の推進を図るため」と堅苦しいが、簡単にいえば、役所が主催する文化サークルのようなものだ。
ムーブは建物1階~5階と、6階の一部を占める。1階は交流広場と図書・情報室、2階は4ヶ国語同時通訳設備を備えた客席数520のホール、3~5階は各種活動室や大小会議室など。なお、地階は駐車場、9階~10階は北九州交響楽団などが利用する北九州市立大手町練習場になっている。
建物は道路向かいの九州厚生年金会館(1984)と同じ安井建築設計事務所が担当した。同じ設計者の作ではなさそうで、大手町ビルと九州厚生年金会館に一つの個性を見出すことはできない。大雑把に全体の造形や色彩などを見ても一貫性はなく、前作が意識されたとは思えない。
大手町ビルは街中の業務ビル風だ。1階正面の両脇(玄関、駐車場入口)に波型の庇を取り付け、2階~5階にガラスブロックをピラミッド状に付着する。9階~10階は緩いパノラマ処理。塔屋も凝っている。外壁にはセントシティ北九州(1993)、井筒屋新館(1998)と同じ桜色のタイルを用いる。1990年代の北九州市はこの色合いを好んだ。
単体で見れば金のかかった立派な建物だと思うが、周囲から浮いた印象が否めない。大手町は小倉陸軍造兵廠跡地の新市街地であり、街中ながら密集地ではない。周囲の郊外然とした低層建築に合わせろとは言わないが、この平和通りか小文字通りにあれば似合いそうな建物は、大手町という街との対話ができていない。
門司港ホテル(1997)は前面の市街地に対して、街路を塞ぐかのような視覚効果を演出し、街区の主役の座を射止めた。戸畑C街区(2007)は「都心に新しい丘を創る」が主題だった。導かれた解には賛否あろうが、いずれの作品も「新たな一員として街並みに加わる」という発想があったことは確かだ。
大手町ビルを意識した大手町アイビースクエア(2004)が南隣に築かれてからは、唐突な印象がだいぶ和らいだ。界隈では造兵廠の接収解除後から高度成長期にかけて建設された建物が更新の時期を迎えており、今後は新建築が大手町ビルに寄り添うことで、この独尊主義者を消化するほかなかろう。
2005年7月13日作成、2009年5月27日更新
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Ôtemati Building