ガゾーン関門北九州圏

2008年10月20日更新

環境ミュージアム

設計・施工
北九州市建築都市局建築部+昭和設計(設計)
竣工・規模等
2001年竣工、RC/S、地上2階、敷地面積約4100㎡、延床面積2061㎡、事業費20億円(建物10億円、展示品5億円、土地5億円)、維持管理費1億2000万円/年
場所
北九州市八幡東区東田2-2-6
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環境ミュージアム 全景

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表玄関部分

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ドームシアター(奥)とビオトープ(手前)

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南玄関

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壁面緑化

あらまし

環境ミュージアムは、北九州市が整備した環境学習・交流総合拠点施設。2001年の北九州博覧祭に合わせて開館した。北九州市は「環境首都」なるものを目指しており、北九州博覧祭は環境が主要な主題だった。

施設は環境学習センター、環境情報センター、環境活動センターの機能を有す。小中学校の社会見学を受け入れるほか、行政、企業、非営利組織の活動や情報発信の場にもなる。

建造物

環境ミュージアムは造形的にはさほど見所はない。ドームは360度映写の映画館。このドームをL字に囲う本館には、展示場、多目的ホール、図書館、実験室、談話室、事務室が入る。

内外装には見所が多い。「自然素材やリサイクル素材を積極的に使用したり、太陽光をエネルギーとして利用するなど、施設のあらゆる面にわたって、環境に配慮した施設構築を行った」(環境ミュージアム)そうだ。

どんなからくりがあるのか?

まず、定番の太陽光利用がある。事務所棟の屋上に太陽光パネルを設置し、4kWを発電する。氷蓄熱空調装置は夜間電力を利用して氷をつくり、昼間の冷房に使用する。複合発電照明は、風力と太陽光の発電装置を組み合わせ、街路の照明装置に電力を供給する。太陽電池発光ダイオードは、太陽光のエネルギーを電池に蓄え、エコシアタードーム外壁や、建物外周の歩道の足元を照らす。

太陽光は吸収するばかりではなく、不必要なら排除する。屋上・壁面緑化は、建物への外気温の影響を和らげる働きを担う。窓ガラスに貼った熱反射断熱フィルムは紫外線や赤外線を遮断し、夏の冷房効率や冬の暖房効率を高める。

次に、当世風の環境対策がある。展示室の壁面で用いた断熱材兼用型枠材は、国産間伐材の木屑、細多孔質セラミック粉末、セメントを混ぜて製造した型枠材を捨てずにそのまま断熱材として利用した。館長室・講師室などの壁紙はケナフという一年草が原料。木材を使用しないことで森林破壊に配慮した。多目的ホールのタイルカーペットは、使用済みのカーペットを再利用した。

施設への進入路には窒素酸化物吸収ブロックを敷き詰める。表面に太陽光が当たることで、大気中の窒素酸化物を吸収・分解して、排気ガスによる大気汚染を改善する効果がある。さらに舗装に廃ガラスを混ぜて透水性を高めた。雨の日に水たまりができにくく、晴れの日に舗装下の水分が蒸発することでヒートアイランド現象を抑制する。

最後に、ドームの基礎に容量約60トンの貯水槽を設置した。館内のトイレ雑用水と、ビオトープ(人工的に生物群の棲息場所となるよう環境を整備した場所)で使う。

技術に慢心

北九州市内にある近年の建築物で一番の見ものはどれか。そう尋ねられれば、わたしはこの建物を挙げる。環境ミュージアムはよく言えば最新の環境技術の展示場、悪く言えば過剰な技術装飾を施したまやかしだ。好き嫌いは別として、将来の建築を考える上で必見であることは間違いない。

環境にやさしい建物とはどんな建物だろう。ある建物のエネルギー消費量を10とする。この数値を7に軽減するには二つの方法がある。一つは、エネルギー消費量が7の建物をつくること。もう一つは、エネルギー消費量が10の建物に、新たな装置を加えて3を差し引くこと。環境ミュージアムの環境技術なるものは、後者に与する。

「7」と「10-3」は同じ結果をもたらすが、後者は-3を加えて7を実現する。新たな装置には相応の製造費、維持費、廃棄費がかかるのだから、実際は「10+4-7=7」のような状態だ。結果は同じ7であっても、後者のエネルギー使用量は14であって、前者の2倍に近い。前者より不安定で危うい状態だ。

昔の家屋は暑さ寒さを凌ぐためにさまざまな工夫をした。蟻塚は夏も冬も気温・湿度が一定に保たれる。快適さを犠牲にしろとは言わない。ごてごてと環境技術の鎧をまとう前に、他にやることがあるのではないか。装置を加えることで環境負荷を和らげようという発想からは、消費社会に対する反省が見られない。

建物の構造や形態にまで踏み込んだ提案が聞きたい。名護市役所は冬が訪れる北九州では通用しない建物だが、環境にやさしい建物の見本として興味深い。一方、環境ミュージアムの素地はどこにでもあるただのハコだ。ただのハコに各種環境商品を展示したにすぎない。

2006年7月28日作成

資料

参照記事(外部サイト)
北九州市 環境ミュージアム公式ホムペ
屋根緑化・壁面緑化を施工 - 鹿島建設
関連項目(ガゾーン内)
東田第一高炉 - 八幡製鐵最初の高炉。史跡広場として静態保存。
いのちのたび博物館 - 東田。歴史・考古・自然史博物館の複合施設。
北九州イノベーションギャラリー - 外観はカマボコ型。官営製鉄所の工場風。

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Kitakyûsyû (Kitakyushu) Environment Museum