2008年10月20日更新
イオン若松ショッピングセンターは、組合施行の二島パーク199土地区画整理事業による郊外型の大型複合商業施設。設置者はグリーンプラザ開発(本社、中間市)。1核1モール式の共同店舗で、ジャスコ若松店と約100の専門店で構成する。
商圏は若松区西部と八幡西区北西部の約25万人・約9万世帯。50万商圏を相手にしたイオン直方やイオン八幡東と比較すると、建物も半分の規模でしかない。開業当時の受け止め方は、大きめのダイエーがやってきたという程度だった。
この場所にはわが国初の厚板ガラス製造工場の日本板硝子若松工場があった。工場は1977年に閉鎖され、跡地は利用されないまま約20年間放置された。1996年に土地区画整理事業組合が発足し、多世代型住宅、福祉関連施設、商業施設などが複合した都市空間をつくり、地域の活性化に結びつけようと事業を始めた。
二島リバーパークシティは、「複合商業施設ゾーン」「福祉ゾーン」「住宅ゾーン」「リバーウォーク専門店ゾーン」に四分割される。複合商業施設ゾーンにはイオン若松が進出した。リバーウォーク専門店ゾーンはオープンモール型の商業施設で、共用駐車場の中にマクドナルドやセリア生活良品など六つの業者が独立店舗を構える。
福祉ゾーン、住宅ゾーンは、2006年末時点では臨時駐車場となっている。老人ホームやマンションの計画があるそうだ。
北九州市では行政が率先して郊外の工場跡地にイオンを誘致するのだから、まちづくり三法の改正もなにもあったものではない。次は北九州空港跡地なのだろう。北九州市はあの場所に性懲りもなく商業地域を設定した。
イオン若松は北九州初のアメリカ式ショッピングモールとして記憶される。アメリカ式の特徴は、歩行者専用道路に屋根を被せた商店街(=アーケード)があり、その片端または両端に大型店舗がある。アーケードと核店舗は明確に分離される。
北九州のショッピングセンターの老舗 ザ・モール小倉(1995)にも「モール通り」なるアーケード相当の部分があるが、核店舗が側面にあることや、西友と商店街が渾然一体となって境界線が曖昧なことから、総合スーパーの変容途中という印象を受ける。
アメリカ式は百貨店とアーケードで構成する昭和時代の繁華街の現代版だから、違和感はない一方で新鮮味はある。街なか立地のアーケードは廃れたが、アーケード自体は世代交代してショッピングセンター内部で繁栄を謳歌している。
出店者がチェーン店ばかりなのが面白くないが、消費者が地元の独立店より東京の有力店を望むのだから仕方がない。自分らしさとか個性の尊重とか言いながら、金太郎飴がもっとも望まれる世の中になった。
ショッピングセンターは内部に歩行者専用道路を取り込む。よって、内部通路に面した部分こそがファサード(建物正面)といえる。店舗は外壁に対してみな背を向けているのだから、外観はどこから見ても裏手にあたる。ショッピングセンターの外観が大味なのは、視点に外向きの力が働いていないからだ。
イオン八幡東は背中は背中とばかりに割り切って、大味ながら機能重視の引き締まった外観となっている。イオン若松はまだ割り切れていない。変化を加えて見映えをよくしようとガラスを張ったり曲線処理の化粧壁を取り付けたりしたが、必然性がなく場当たり的で、安物の舞台装置のようで見苦しい。
内部は東側にジャスコ若松店があり、西側に「く」の字の2層吹き抜けモールが伸びる。モールは天井のドーム型アーケードの質感が悪く、広広というよりは寒寒した印象を与える。延長は前後の両端が見えてしまう程度のあっけなさだが、通路の幅や店舗の間口などは標準仕様で、建物が小さいからといって店子も小さいわけではない。
モールの店舗構成は、衣料品店、本屋、レコード屋、飲食店、ゲームセンターなどが一通り揃って、イオン八幡東よりもずっとバランスがよい。2006年6月に増築棟を開業させて売場面積を2割拡大し、新興住宅地の家族向けだった店舗構成に若者向けの街角を付け加えた。
まちづくり三法の改正を睨んだ駆け込み増床は感心できない。増床するのなら、イオン若松ではなく、同年竣工のイオン八幡東をより充実させるべきだった。
イオンでいつも気になるのは建物上層の駐車場だ。構造材や配管が剥き出しの駐車場は以前からあったが、お客様用の駐車場として供するようになったのは、関門都市圏では今世紀に入ってからだろう。大切なお客様を陰気で薄暗い工事現場の仮造成ような場所に出入りさせるのはおかしい。
車社会に依存した郊外型施設では、駐車場は表玄関に他ならない。玄関は建物に接して最初と最後に通る関門だ。第一印象がよければ好意が芽生える。終わりよければすべてよしともいう。買い物客のうきうきした気分はこの陰鬱な駐車場で冷や水を浴びせられる。店内と駐車場の落差があまりに大きい。きらびやかな店内で客に金を使わせて、こんな場所に放り出すのがイオン流のもてなしか。
イオンは駐車場を軽んじているのか。わたしはイオン八幡東(2006)の駐車場を見て舌を巻いた。駐車場を効果的に配置するために土地を造成する念の入れようだった。なぜ質感にこうも無頓着なのか。車社会の商業施設を自認するのなら、自動車客に利便を供するだけでなく、自動車客に愛される施設づくりを心がけてほしい。駐車場は表玄関であり、着飾る場所であって手抜きを極める場所ではあるまい。
2006年12月31日作成
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