2008年10月25日更新
新北九州空港には「玄関」と呼ばれるものがいくつかある。新しいJR朽網駅もその一つ。北九州市は住宅地の丘の下にあるJR日豊線の小さな委託駅を新北九州空港への玄関と位置づけ、2005年12月に装いも新たに開業させた。併せて国道10号側に空港口広場を造成した。
ここに限った話ではないが、橋上駅というのは分類上は建物ではなく道路だ。朽網駅の場合は「歩行者専用道路14号線」という名の北九州市道(歩道橋)。北九州市が道路事業の一環として建設した。JR九州が建設したのは「沿道にある」改札と駅事務室を入れた箱の部分のみ。
建物を道路と言い張る怪しげな解釈が確立して、私企業の設備投資に対して湯水のように税金を投入することが可能になった。新駅の建設は公道を通すためなのだから、今後ますます鉄道事業が行き詰まれば、怪しげな解釈が拡大されて全部を丸ごと税金で建設することになろう。
2004年開業の門司駅は南北公共連絡通路の北口がスケルトン(半透明)で好印象だった。新しい朽網駅の東西公共連絡通路(歩行者専用道路14号線)は文字通り歩道橋で、興が感ぜられない。
事業費約20億円の大部分が空港口広場と朽網駅前線の費用だろうから、歩道橋の建設には金をかけられなかった。空港口は駅裏という事情もあるが、無骨な階段室とエレベーター塔がぞんざいに配置され、どうにも見映えがよくない。
西口にしても、上げ底2階の駅本体は工事現場の仮設建築に白いペンキを塗たくったような安普請だ。耐震偽造が話題になっている中で、このピロティの柱はいかにも心もとない。
1階に本屋と銀行の現金自動預け払い機があるのはよい。ピロティに小さな箱を押し込むと、鉄道高架下の倉庫のようだ。JR九州の「1階を造る金なんぞどこにもないわ!」と言わんばかりの吝嗇ぶりには、正直げっそりする。
空港口広場は西口広場の2倍強の広さがあるが、予想したよりはずっと狭い。驚いたのは朽網駅前線のクランク(└┐)形状。しかも、この道路の幅員が15mと異様に狭い。空港連絡バスが入れないことはないが、道端に1台路上駐車があれば往来は厳しい。道路も広場も基本的には普通車の乗り入れしか想定していないように見える。
空港口の土地区画整理事業では駅から国道10号までの建物を薙ぎ払った。写真を見てのとおり、空港口広場から国道10号までは空き地だ。わたしは国道10号からまっすぐに太い駅前通りが朽網駅に入ると思っていた。なぜクランクする必要があるのか不思議だったが、右の計画図を見て得心した。まっすぐに駅前通りを入れるとバイパス朽網交差点に近すぎる。
バイパス朽網交差点は空港口広場の何倍も面積があることからも分かるように、交通量が多い。いまでさえ事故多発地帯で改良の必要性が声高に叫ばれているのに、さらに駅前通りを加えるなんて無茶な話だ。駅前通りはこの交差点を迂回した。
一方、西口広場は仮造成らしい。計画図を見ると西口には幅員17mの曽根行橋線が通ることになっている。西口広場の本格的な造成は曽根行橋線の建設に絡めて後日行うのだろう。
新北九州空港は日豊軸に強い影響力を持つが、そのベクトルはもっぱら南を向く。中津方面から北上する鉄道客にとって望ましい玄関は苅田だろう。小倉南区民は鉄道を経由せず新空港へ直行しようし、他区民は小倉駅や引野インターから空港連絡バスに乗ろう。だれが朽網に用があるのか。
そもそも北九州市は本当にここを新北九州空港の玄関駅にする気があったのか。なるほど朽網駅からは新空港行きの連絡バスが1日30往復程度運行することになっている。それにしてはインフラが貧弱すぎないか。新しい朽網駅は駅舎も駅前も単なる郊外の駅としか思えなかった。
2006年1月3日作成
©2011 ガゾーン 転載自由。著作権は関門通信またはその情報提供者に属します。
JR Kusami Railway Station