2008年10月22日更新
正面外観
スキップ専門店街 2層吹き抜けモール部分
スキップ専門店街 通路部分
レストラン街の行列店 門司港レストラン・アレッタ
病院の待合室風の4層吹き抜け中央広場
サンリブシティ フロム小倉店
3階駐車場
サンリブシティ小倉は、西日本最大のスーパー、サンリブ・マルショクグループ(本社、北九州市)が開発した郊外型の大型複合商業施設。西日本ではイオン(本社、千葉市)やイズミ(本社、広島市)などの出店攻勢が相次ぎ、サンリブの地位は安泰ではない。サンリブとしても本格的なショッピングセンターを手がけ、打って出ることにした。
施設規模は増床後のイオン若松(2002)とほぼ同じ。商圏は小倉南区を中心とした約25万人程度とみられる。建物の1~2階が売り場で、平面と建物の3階~屋上が約2000台収容の駐車場。核店舗のサンリブと約110店舗の専門店街「スキップ」からなる1核1モール式の共同店舗で、構成比はサンリブ4に対して専門店街6だという。
小倉南区は北九州市の行政区で唯一、中心拠点がない。郊外の宅地開発は1970年代から国道322号の増強(道路拡幅とモノレール小倉線の建設)を見越して徳力方面に進展し、1985年の曽根バイパス開通を契機に東部が注目を浴びるようになった。この過程で国道322号沿道では守恒、曽根バイパス沿道では下曽根南口にそれぞれ郊外商業地が形成された。
小倉南区の市街地形成は都心部との連絡のみが重視され、八幡西区のような面としての広がりがなかった。線形の発散から面的な拡大に変容し始めたのは今世紀に入ってからで、徳力葛原線の開通(2004)や湯川東谷線の開通(2006)は小倉南区の市街地形成にとって画期的な出来事だった。
この道路網の整備と時を同じくして実施されたのが上葛原土地区画整理事業だ。上葛原は小倉南区のヘソに位置するが、竹馬川の氾濫流域にあって市街化が抑制されていた。このため、竹馬川都市基盤河川改修事業を進めて河川の安全性を確保し、そののち田んぼに順次盛り土して区画整理を行い、市街地に組み込んできた。
小倉東ICが立地することから、当初は物流拠点として売り出した。しかし物流団地としてよりも商業団地として注目を集め、2003年にコジマ小倉東インター店が開業、以降は小売業者の進出が目立つ。小倉東IC地区は国道322号沿道、曽根バイパス沿道の両方から集客できる25万商圏対応の立地だった。この場所にさっそく唾をつけたサンリブはさすがだと言うほかない。
サンリブシティ小倉の造形は凝っている。色使いもショッピングセンターにしては派手だ。曇り日が圧倒的に多い北九州では、淡白な色はくすんで見える。地元を知り抜いた業者は濃い色を好む傾向があるが、これはややパチンコ屋じみた色使いという気がしないではない。北九州の建築物はリバーウォーク北九州(2003)以来、色彩に対する箍が外れて極彩色をためらわなくなった。
内部は南側に核店舗のサンリブがあり、北側に楕円形(閉じた輪)のショッピングモールがある。モールは奥が合掌型アーケードの2層吹き抜け、手前が通路の構成で、楕円長軸の両側に広場を設けた。
1核1モール式の同規模施設にイオン若松があるが、核店舗からモールが尾のように突き出す配置計画と比較すると、サンリブシティ小倉のぐるりと回って同じ場所へ戻ってくる配置計画は回遊性に優れているように見える。
しかし現実に歩きまわると、動線が錯綜して初訪問ではどこになにがあるのか分かりづらい。閉じた輪のモールでありながら、モールを1周しても全店舗をめぐれないから右往左往しなければならない。特に2階は2層吹き抜けモールの通路が両側に分かれるため、動線がさらに難しくなる。
一方、増床前のイオン若松はモールの行く手が行き止まりの線形モールながら、2層吹き抜けモールの両側通路を「行って来い」でめぐればよいのであり、動線がはっきりして初訪問でも施設構成を把握しやすい。
イオンが単純明快なアメリカ式モールなのに対し、サンリブシティには日本の繁華街のような界隈性がある。どちらがよいかは個人の好みの問題だろうが、イオンと同じ商業施設にはしないというサンリブの意気込みは買える。
ただ、楕円形モールにするのなら最低でも現在の2倍の規模がほしかった。この狭さで通路を急カーブで曲げると、窮屈な印象が拭えない。
サンリブシティ小倉で気になるのは、細かいところの至らなさだ。極彩色の外観に惹かれて内部に入りこむと、大雑把で淡白な空間を目の当たりにして失望しないではいられない。特に気になったのは以下の二点。
屋上駐車場から店内に入り、最初に目につくのは吹き抜け天井にぶら下がる照明だ。食品スーパーさながらに店内を蛍光灯でしらじら照らすのはどうだろう。照明の色にはお国柄があり、日本人が清潔感あふれる昼光色を好むのは知っている。好みの問題だと言われれば返す言葉がないが、内装材の質感の悪さを際立たせていないか。昼光色を使うのなら内装も変えるべきだ。
4層吹き抜けの中央広場にも大いに困惑した。ここははたして病院の待合室だろうか。長椅子を一方向に並べて、前面に大型テレビを置く。この配置がイベントなどの際に有効なのは分かるが、客がこの広場の主人公という発想が見て取れない。「注目されるあなた」を演出してやることは、客がだらしない格好をして場の雰囲気を悪くするのを防止する策でもある。
サンリブにとって1核1モール式のショッピングセンターは初めての試みだから、荒削りな部分があったり、演出に難があるのは仕方がない。サンリブシティは多店舗展開するにはまだ改良と洗練の余地が大きい。この1号店ではイオンに勝てないというのが正直な印象だ。
サンリブシティには派手な外観や楕円形モールなどの個性があり、店子構成はイオンと変わりない。大枠には十分な魅力がある。イオンと比較して圧倒的に劣るのは細部のつくりこみだ。建築家のミース・ファン・デル・ローエは「神は細部に宿る」と言った。細部のつくりこみ次第で同じものが上質と劣等、好感と反感に分かれる。軽んじることなく磨き上げてほしい。
2007年1月27日作成
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