2008年01月19日更新
城内タワーは、不動産開発のみくに産業(本社、北九州市)が勝山公園西隣の小倉職安跡地に建設した同社初の超高層の分譲共同住宅。店舗が入らない純粋な住宅専用タワーマンションは、これが北九州で初めて。18階に一流ホテルを模した来賓室があるそうだが、当然に入居者専用だ。
この物件のウリは住所が「城内」であること。城内の地位(ちぐらい)は北九州でもっとも高い。「現代の小倉城」という宣伝文句に偽りはなく、他人に鼻を高くして自慢できる立地だ。しかし敷地の南側が6車線の主要幹線道路で、その上を北九州都市高速1号が通る。道路向かいは15階建ての公団住宅だ。立地環境は世辞にもよいとは言えない。
北九州は地盤堅牢で知られた土地だが、中でも紫川西岸の台地は際立って地盤が堅く、大きな樹木が根を張るだけの土すらない。幹線9号(大門木町線)の大手町工区では、街路樹のケヤキを植えるために地盤を破砕して植木鉢をつくり、地下に人工土壌を入れた。
従って、城内タワーは超高層建物で通常用いる杭を一本も打ち込まず、地下6mの位置にある岩盤にニューヨーク・マンハッタンよろしく直接基礎を埋め込んだ。東京の下町などでは何十本もの杭を地下100m以上の深さまで打ち込むが、要するに地盤がこの上もなく悪いからだ。
建物本体は通常の2倍の強度を誇る鉄筋コンクリートを採用し、構造体の大規模補修不要期間を約100年とした。地盤と建物の強度に関してはこれ以上は望めない。工期半ばで施工業者の森本組が倒産したが、工事はつつがなく大成建設が受け継いで、なにごともなかったかのように竣工した。
設計者の黒川雅之は建築よりも小物類で知られる。全体の造形よりも細部の目配りがうまい。黒川は城内タワーで「日本人の心の奥底に息づく美意識を現代の最先端で表現した」という。外観は「光と風景」を映し出す白を基本として、素材に輝きを添える銀色をあしらった。建物四隅に設けた見晴らし窓は、時間や天気を写す鏡の役割を果たし、光と影が建物の表情を作る。
題目はよいとして、北九州のタワーマンションは最初が黒川紀章の門司港レトロハイマート(1999)だったため、後からできる建物は押しなべてつまらなく見える。城内タワーも造形は凡庸だ。ただ、細部の作り込みにはこだわりが感ぜられる。たとえば、都心部の太陽の橋あたりから眺めると緑の公園の奥でタワーが輝いて見えるが、この「きらきら感」はアクセサリーのようだ。
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Zyônai (Jonai) Tower