2008年10月25日更新
イオン八幡東ショッピングセンター 東田大通り側 奥はスペースワールドの観覧車
イオン八幡東ショッピングセンター スペースワールド側
ショッピングモール 1階
ショッピングモール 2階
ショッピングモール 3階
イオン・スタイル・ストア(3階)
イオン八幡東ショッピングセンターは、八幡東田総合開発のタウンセンターに立地する郊外型の大型複合商業施設。1核1モール式の共同店舗で、ジャスコ八幡東店と148の専門店で構成する。商圏は北九州中西部を中心とした約51万人・20万世帯。延床面積はイオンモール直方の半分だが、商業施設面積では若干小さい程度だ。
核店舗のジャスコ八幡東店には、イオンの新型衣料品売場「イオンスタイルストア」をイオン九州として初めて導入した。専門店街の核は玩具のトイザらスと、書籍の旭屋書店。約30店舗が北九州初出店になる。複合映画館は道なりで3.8km先にあるイオン傘下の戸畑サティ(1999)にあるから見送った。
イオン八幡東と戸畑サティは、前者が広域集客型、後者が地域密着型という棲み分けになる。ただ、戸畑サティはサティが経営破たんしてイオン傘下に下る以前の店舗だから、イオンは出店に関知していない。同一商圏にある複合映画館付の総合スーパーは、身内になっても手強いライバル店だ。
建設地は公害が問題視されなかった古い時代に新日鐵の工場が立地し、ベンゼンなどの有害物質による土壌汚染があった。着工に先立ってこの土壌を根こそぎ取り除く必要性が生じ、工期は半年遅れて開業も半年遅れになった。
建物としてのイオン八幡東には二つの特徴がある。一つは、商業床が2層ではなく3層もある。もう一つは、まったいらな敷地にわざわざ盛土して、地上面を1階と2階の二面構成とした。
大きすぎる施設は駐車場から売場までの歩く距離が伸びるため、都心ほどではないにしても敬遠される傾向がある。敷地面積に余裕がないというのが3層の商業床をつくった理由だろうが、単純に3階建てにすると2階の収益性が悪くなり、3階は「死に床」になる。家賃を安く設定しなければ店子が入らない。
2層のイオン直方では建物の上下左右に駐車場を組み込んでどの床も「1階相当」にする工夫が見られた。地形をうまく利用したものだと感心したが、まったいらな敷地に盛土してまで死に床回避に動くとは思わなかった。イオンは車社会にどっぷりつかった郊外人の行動特性を知り抜いている。
イオン八幡東は裏手のスペースワールド側が1階地上面に面し、表側の八幡東田大通り側が2階地上面に面す。3階は中空にあるが、屋上に駐車場を2層(4~5階)重ね、最大の駐車容量を確保した。この駐車場の配置も非の打ち所がない。
まず2階駐車場を埋める。2階が地上面であれば、3階は2階相当、1階は地下1階相当で、実質的に3階は存在しない。次いで4~5階駐車場へ誘導する。もっとも車を入れやすい1階駐車場は背後に隠し、自動車が安易に集中しないようにした。
ショッピングセンターの外観は得てして大味でおもしろみに欠けるが、イオン八幡東もやはりおもしろくない。品質も冴えない。建物の周囲や4階駐車場をつぶさに検分したが、安普請のハリボテな上に、雑な仕事が目立った。
屋上の駐車場や、駐車場の館内入口のつくりがぞんざいだったのが特に印象に残った。駐車場の館内入口は大切なお客様を迎え入れる表玄関の構えではない。旧弊に安住する都心商業者ならいざ知らず、郊外商圏の覇者イオンがいつまで表玄関と勝手口を履き違えたままなのか。
内部は順当にアメリカ式のショッピングモールだった。全長220mの3層吹き抜けモールは、収益性は別として空間演出としては狭苦しさがなく心地よい。
モールは全体が緩いS字形状で、全体を見渡すことはできない。通路を曲げるのは歩くたびに新しい視野が開けるようにするためで、買い物客に歩く動機を与える。1階の通路幅は8mあり、床に大理石調の光沢タイルを敷き詰め、ちょっと気取った街角の雰囲気だ。2~3階の床は絨毯を敷いて、対照的にくつろいだ室内の雰囲気を醸す。
店舗構成は衣料品店と飲食店しかなく、異様に偏った印象を受ける。複合映画館に代替する滞在型店舗がほしかった。モールの3箇所に設けた広場も広いとはいえない。チャチャタウン小倉のように憩いの場を提供し、さらに文化を発信しようという意欲は見て取れない。
イオン八幡東の設置者はイオンだが、事業者は新日鉄都市開発だ。東田のイオンは構想から決定までに時間を要したことから、これまでにさまざまな話があった。2003年ころは、新日鐵が不採算のスペースワールドをオープンパークとして無料開放し、イオンの新型商業施設と抱き合わせるという提案があった。
柵の中に押し込まれたテーマパークを街へ解き放て。ショッピングセンターが観覧車を設置する例は少なくないが、東田では遊園地と商業施設、非日常の「行楽」と日常の「消費」が大規模に融合した次世代のまちづくりが模索された。しかし実現は難しかったようで、新日鐵はスペースワールドを加森観光へ無償譲渡して身を引いた。
新日鉄都市開発はイオン八幡東に先立ち、メディアパーク地区にナフコを誘致した。ナフコ八幡東店は同社最大の延床1万6489㎡。東田の総売場面積はすでに進出済みのコジマ電器八幡店やベスト電器八幡本店、その他を加えると10万㎡に迫る。洋服の青山など、これから進出する店舗もある。
黒崎地区の総売場面積は1991年時点で11万7000㎡だった。現在の数字は分からないが、東田の商業集積がこれを上回るとみられる。東田の場合は車社会に対応した商業団地が形成され、従来の駅前商業地・黒崎よりも集客力が強い。新日鉄は隣接地でマンション建設に着手しており、今後は人口の街なか回帰に期待がかかる。
2007年4月11日作成
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