2006年11月13日更新
クロッシングは、魚町交差点の小倉東映会館跡地に建設する地上10階建て立体駐車場。1階を貸店舗にして若者向けの衣料品店などの入れる。入居者募集は2006年1月~3月ごろに行うということだが、店舗面積が全体で1182㎡と極小だから、チェーン店が二つも入れば満室御礼だ。
施主は賃貸マンション・駐車場運営のオリエントキャピタル。駐車場に40億円も投資して採算が取れるのかは疑問だが、北九州都心部は利便性の高い場所に利用しやすい大型駐車場がない。休日になれば井筒屋や伊勢丹、リバーウォークへ入る車が周囲の道路を埋め尽くす。
都心部の駐車場は需給関係でいえば十分に供給があるが、駐車場はあればよいというものではない。使いにくい機械式駐車場が場末や路地にあっても客が来ないのだから価値がない。
20世紀は鉄道駅が都市のターミナルだった。21世紀は駐車場が都市のターミナルになる。オリエントキャピタルは最高の立地に駐車場を構えるのだから、同社の真意は別として、すばらしい判断だった。クロッシングに車を止めておけば、どこへ行くにも便利この上ない。ただ、クロッシングを「北九州駐車場ターミナル」と呼ぶには規模があまりに小さすぎる。
この場所に駐車場を建設するのは市民や地元商業者が望んだことではない。嫌われることをやってのける強引さを持ち合わせているのなら、周囲の遊休地を全部地上げして1万台収容の超巨大駐車場を建設するくらいの大胆さがほしかった。
クロッシング建設に伴って撤去された小倉東映会館は東映(本社、東京都)の所有する建物で1961年に開館した。1980年代までは北九州を代表するファッションビルだった。しかし建設から43年が経過して老朽化が著しく、ラフォーレやリバーウォークなどの同様の施設に対抗できなくなった。同社は2003年に閉鎖の方針を打ち出し、店子を移転させた上で翌年に閉鎖した。
東映は当初、跡地には新時代の北九州都心部にふさわしい商業施設を建設すると意欲をみせたが、最終判断は2004年開業の小倉伊勢丹の業績を見極めてからと保留した。この小倉伊勢丹が不振を極めたため、東映は自社開発の意欲を失い、跡地を売却することに決めた。
跡地買収で手を挙げたのはパチンコ業界大手のユーコーラッキーグループ(本社、福岡県久留米市)だった。しかし地元商業者らはパチンコ屋進出阻止で団結し、北九州商工会議所と北九州市が東映本社に要望書を提出するという異例の民事介入を行ったため、軋轢に嫌気が差したユーコー社が買収を辞退した。
駐車場とパチンコ屋、二者選択でいえば市民も駐車場のほうがよいと言おう。駐車場は魅力的な施設ではないが、街全体に利益をもたらす。しかしすったもんだしたわりには、つまらない事業になったと残念がる市民が多かろう。
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Orient Buildings Project No.63 - Crossing Bldg. (Parking)