2008年10月25日更新
幸町工区 松原団地付近
幸町工区 三菱マテリアル 平苅ベルトコンベア付近
井場川工区 磯浜町
既設区間 日産九州工場前
門司行橋線は門司港から新門司を経由し、周防灘沿岸を南下して行橋市の国道201号へ至る主要地方道。今回の供用により全線が線として繋がった。都市計画道路・苅田臨海工業線は門司行橋線の区間を構成し、新北九州空港および苅田港のインターチェンジ10分圏を支援するための道路と位置づけられる。
苅田臨海工業線の平面部は以前から断続的に開通していたが、幸町工区の全体と井場川工区の橋梁部などが未開通だったため、長らく国道10号の引込道路のように利用されていた。
道路の幅員は接続する門司行橋線朽網工区(北九州市の施工区間)と同じ40mのようだが、車線数は4車線から6車線に増える。朽網工区が「公園通り」なのに対し、苅田臨海工業線は機能性重視の「産業道路」として造成した。産業道路らしく男性的で、女性的な庭園趣味のある朽網工区とは雰囲気ががらりと違う。
門司行橋線の朽網工区以南は曽根バイパスと行橋バイパスを連絡する国道10号の迂回路として機能する。今後、通過車両は曽根パイパスから直進し、門司行橋線経由で国道10号行橋バイパスへ抜けるのが主流になろう。
わたしは開通当日の日曜日に通行したが、休日かつ初日にもかかわらず結構な交通量に驚いた。供用直後の道路というのは通常なら物見客の自家用車がうろうろしているだけで、実に閑やかなものだ。苅田臨海工業線は初日から殺気立った産業車両が脇目も振らず突っ走っていた。
幸町工区は、地域高規格道路・新北九州空港線(新北九州空港連絡道路)の空港IC入口から豊鋼材工業苅田工場あまりまでの延長1.5km。向山公園の丘の北側を上り下りする。
この工区は第一種住居地域を通過するのが難点だ。将来は24時間にわたって騒音基準を超過することが予測される。沿道に新築住宅が並んでいるが(写真1)、ここを買った方は気の毒だ。沿道の一部で見られる植栽塀では全然に足りない。高さ10mくらいの本格的な遮音壁が必要だ。
宅地販売の時点では静かだったろう。「ああ、裏に広い道路ができたら便利になるな」くらいに考えていたのかもしれない。永遠の騒音と振動に苛まれ、後悔することにならなければよいが。産業道路が通ることを知りながら買ったのだから、自治体はこんな遮音壁はつくってくれまい。
井場川工区は、豊鋼材工業苅田工場あたりから苅田町浄化センターあたりまでの延長0.6km。河口部2箇所に桁橋を架け、以前から供用していた道路を繋いだ。苅田港入口付近は苅田町の中心市街地の一角で、歩道には舗装用ブロックを敷き詰める。
今回の開通区間ではないが、「日産九州工場前の直角カーブは交通量増加により事故多発箇所になりそうだ」と危険を指摘する声が寄せられた。行橋方面の場合は3車線が2車線に狭まるのだからなお危険だ。この箇所は周防灘臨海線道路が開通すれば三叉路になるのだろうが、道路建設が実現するかは疑わしい。
バイパス朽網交差点のように死傷者が多数出てからでは遅すぎる。500m手前くらいから路面を赤に染め上げるなどして注意を促したい。大幹線という性格を考えれば、早い時期に抜本的な改良を加える必要もある。100mでよいから直線の引込道路を作っておけば、間違って直進しても少なくとも死人は出ない。
苅田臨海工業線の開通は苅田町のまちづくりの転換点になる。この大幹線の開通により、北九州から行橋へ通過する交通はもちろん、苅田の工業・港湾関連交通も国道10号から苅田臨海工業線へ移る。国道10号は通過車両が減少するだけでなく、大型車両の混入率も低下する。
通過車両主体の幹線道路は急流の河川のようなものだ。流れに任せて遠くへ行くにはよくても、近隣地域内を回遊するには都合が悪い。一時停車もままならなければ、向こう岸にわたるのも難しい。国道10号の沿道町である苅田町が求心性を持てず、「通過される町」になった所以だ。
苅田町は苅田臨海工業線の井場川河口沿いに集客施設「海の駅」の設置を検討しているが、都市部ではバイパスが開通すると旧道沿いの開発が活性化する。道路の安全性が確保されると、滞留性と界隈性が向上するからだ。苅田は泣き所の「通過される町」を是正するためにも、バイパス効果よりも旧道効果を大切にしたほうがよい。
国道322号はモノレールが開通して旧道沿いが大いに活性化した好例だ。北方あたりの旧国道322号はまともな歩道もない貧弱な道路だが、通過車両が減少して沿道環境が改善した結果、マンションが林立した。次いでこれを目当てに近隣型の商店などが集まり、現在ではずいぶんと建て込んだ場所になった。一方、新国道は凶悪な沿道環境が敬遠されて土地利用は低調なままだ。
苅田町は町内を回遊する道路網が弱かった。苅田駅東口を南北に通る2車線道路と国道10号が生活道路化すれば、町内をゆるりと回遊することが可能で、面の広がりを持った市街地を形成する素地が生じる。通過車両や産業車両は苅田臨海工業線へ追いやって、国道10号を近隣住民の生活の場とするための施策を期待したい。
2006年2月20日作成
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Kanda Coastal Industrial Road, a part of Mozi-Yukuhasi Route