2008年10月26日更新
スピナガーデン大手町は、核店舗のスピナマート大手町店と13の専門店からなる生活密着型の商業施設。建物は核店舗と専門店街が連結した共同店舗で、上下2層の専門店街は外部通路に面した片側モール式。この類いの商業施設は1990年代までは主流だったが、近年は共用駐車場に各自が独立店舗を設けるオープンモールに取って代わられて、ほとんど見かけなくなった。
ハイソな大手町に立地するだけあって、店子はちょっと気取っている。デパ地下を模した高級スーパーのスピナマートに寄り添うのは、マツモトキヨシ、クエスト、活魚回転鮨 平四郎、モスバーガーなど。郊外の生活臭あふれるオープンモールなら、核店舗はマルショクで、連れ合いはサンキュードラッグ、ブックオフ、小僧寿しチェーン、マクドナルドだろう。
建設地は安川電機小倉事業所の遊休地北側。敷地約2万3000㎡の半分となる1万1652㎡を占める。この土地は2004年に広島のアーバンコーポレイションが28.5億円で取得して不動産流動化事業に使った。遊休地南側5280㎡にはテイクアンドギブニーズの結婚式場 アーフェリーク迎賓館がある。余りは分譲マンションの用地になった。
遊休地は結局4分割されたろうか。用途はスーパー、結婚式場、マンションの現状でなんの不満もないが、アーバン社にまちづくりの意志がなかったことが残念でならない。切り売りして虫食い開発したために、それぞれがこじんまりと自己完結してしまった。一体的に開発すれば、この用途でも大手町の新しい名所になれたろう。
関門はわが国のスーパー発祥の地であり、全国屈指のスーパー激戦区として知られる。丸和、サンリブ、マルショク、レッドキャベツ、ハローデイ、スーパー大栄などの地元勢が年年小さくなるパイをめぐって過当競争を繰り広げ、新参者が入り込む余地はどこにもない。
新日鐵は2006年3月にスピナを西鉄へ売り払ってスーパー事業から手を引いた。スピナといえば2002年にデパ地下を模した高見店で成功を収めて、丸和のラ・パレットの対抗馬と目される存在になっていたが、会社としてみれば負け組だった。一方、西鉄は子会社の西鉄ストアが地元の福岡地区でスーパーを多店舗展開しているが、北九州地区に食い込むには力不足だった。
スピナは八幡製鐵所の購買会が前身、西鉄ストアは庶民の店だから、両者の基本的な相性はよさそうだ。わたしは西鉄ストアが北九州で知名度のあるスピナの看板を掲げて多店舗展開するとばかり思っていた。ところがスピナマート大手町店は、予想を裏切って「スピナの皮を被った西鉄ストア」にはならなかった。
わたしは新築の消費建築に立ち寄ると、地べたの平面駐車場ががら空きでも組み込み駐車場へ直行する。理由は簡単。組み込み駐車場を見ればその建物の素性が知れる。組み込み駐車場はその建物でもっとも手抜きされた場所だからだ。建物が上品か下品かは組み込み駐車場を見れば一目で分かる。
スピナガーデン大手町の屋上駐車場は手抜きがないのが好印象だった。傾斜路は2車線で広いし、控えめな色合いのウレタン舗装はタイヤあたりが自然な感触だった。屋上設備はむき出しではなく、切妻の箱に入れる。最近は吐き気がするような安普請ばかり見てきたから、やれやれまともな建物だと喜んだ。
建物のL字形状は1核1モール式では定番。食品スーパーは主力商品の単価が安い上に、過当競争による値引き圧力も加わり、建物にコスト削減のしわ寄せがくる場合が多い。西鉄のハコモノは特にそうだ。スピナガーデン大手町は造形に対する工夫こそ感ぜられないが、隅ずみまでていねいにつくってある。
スーパー前のテント屋根や、要所に設置した植栽、きちんとした照明計画などは、税金じゃぶじゃぶの公共建築であれば当然に期待するが、民間の食品スーパーで出くわすとうれしくなる。こういう奢侈は、なくても困らない。施主に景観に対する理解がなく、自己利益のみを貪欲に追求する場合は、真っ先に削られる部分だ。
2007年10月19日作成
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Spina Garden Ôtemati (Supermarket)