2008年10月26日更新
新北空港前広場から見た東横イン北九州空港
東横イン北九州空港は、東横インが新北九州空港旅客ターミナル手前の分譲地に出店したビジネスホテル。空港島に空港関連施設以外の建造物が立地するのはこれが始めて。東横インは地主に建物をつくらせて30年契約で一括賃借する「建物賃借方式」で店舗網を広げてきたが、新北では自社で土地を購入し、自社で建物を建てた。
自社開発にしては不審な点がある。このホテルは空港から荷物を転がして道なりに歩けば5分くらいかかる。なぜこんな中途半端な立地なのか。モーテルばりの自走式駐車場を併設するが、これも得心がゆかない。空港レンタカーを利用する到着客に駐車場は必要なかろう。自家用車で空港に来る出発客はホテルに用がなかろう。
ライバルのルートインは長野発祥の強みを生かして郊外にどんどん出店するが、東横インは「駅前旅館の鉄筋版」を看板に掲げて、駅前への出店に的を絞って業績を伸ばしてきた。関門では2007年2月に東横イン小倉駅南口(施主、愛媛汽船)、2008年1月に東横イン下関駅東口(施主、南栄トラスト)が開業した。
しかしきょうび旅行者にとっての「駅前」は空港だろう。最近の東横インは空港にも関心があるようだ。2001年と2003年に出店した羽田大鳥居のホテルは建物賃借方式だったが、2006年に出店した中部国際空港のホテルは自社で開発した。新北のホテルは自社開発による空港立地ホテルの第二弾になる。
建物は駅前ホテルと空港前ホテルで違いがない。東横イン北九州空港は東横イン小倉駅南口と瓜二つだ。この幅がなく平べったい板チョコ形の建物は、本来は地価の高い駅前において、うなぎの寝床に建てるための設計だろう。周囲がスカスカだから玄関を妻から平へ移したというだけでは、芸がなさ過ぎる。
東横インは駅前立地のため、通常は飲食その他を街に任せて宿泊に特化している。周囲になにもない空港島立地では最低でも館内に飲食店がほしい。しかし中部国際空港のホテルは宿泊特化型だ。新北九州空港のホテルも宿泊特化型で、東横インの立地環境に対応する能力には疑問がある。
東横イン各店は朝食(おにぎり、味噌汁、漬物、コーヒー)を無料で提供する。東横イン北九州空港では夕食(カレー)も無料で提供するサービスを始めた。「食事は空港ターミナルで」では不便すぎるということもあるが、新北のホテルは客室稼働率が低く、窮余の一策だろう。宿泊料金も1泊3950円~に値下げしている。
東横インはハートビル法に基づくホテル施設内のバリアフリー設備を行政による検査後に撤去した不正改造事件で名を汚した。建築物の不正改造はめずらしいことではないが、2006年1月に発覚したこの事件は、姉歯建築士による耐震偽造事件の直後で、西田憲正社長の初期対応が横柄な印象を与えたこともあり、世論の非難を浴びた。
西田社長には「これまでなあなあで通用したこと」という驕りがあったろう。風向きの変化を見抜けなかったのがかれの誤算だった。問題物件は2006年3月末までにほぼ是正し、積極出店の戦略に見直しはない。
2008年2月23日作成、2008年8月30日更新
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