2009年5月16日更新
勝山公園付近より望む 手前は紫川 2009年4月
路地裏のタワー やや頭でっかちに見える意匠 2008年12月
建設地 2005年10月
トーマスタワーは、徳増興産が建設した公衆浴場付の共同住宅。徳増興産と聞いて分かる方は少なかろうが、不動産仲介のフランチャイズとして有名なセンチェリー21の加盟店だ。同社は貸ビル業と不動産仲介業が本業で、特殊公衆浴場(スーパー銭湯)の華の湯や、複数の高級飲食店も経営する。
建物の用途は、1~2階が駐車場、3~4階が「華の湯ビラ馬借」、5~10階が高齢者向け優良賃貸住宅(2LDK)、11~14階が一般賃貸住宅(2LDK)、15~17、20階が一般賃貸住宅(1DK、1R)、18~19階がウイークリーマンションのクィール・イン・タワー、21~25階が一般賃貸住宅(2LDK、3LDK)。
21~25階にはオーダーメード賃貸住宅が19戸あり、広さは50~103㎡。住居のほか、法人や個人が事務所として使用することもできる。家賃は16万~26万/月。徳増興産は「間取りも、設備も、自由にプランニング。従来の賃貸マンションの概念を覆す あなたが造る、あなただけの部屋」と謳う。
タワーの名称は会社の代表者名に因むようだ。徳増雄三社長はアメリカの大学出身だから、学生時代の通り名がトーマスだった可能性が強い。施主の徳増興産、設計の渡辺設計事務所、施工の川口建設はすべて北九州の企業。三井住友建設の援助を必要としたが、トーマスタワーは地元勢による初の超高層ビルとして竣工した。
建物はマンションらしい瀟洒を強調する。青いガラスのベランダをめぐらせ、煉瓦風の格子を張り付けた外観はアシスト21(1999)と同じく毛深い。黒を基調として金属質に仕上げれば揃いになったろうが、この建物は白い。白は新築で売り切る分譲マンションにはいいが、10年後にも入居者募集が必要な賃貸には向かないのではないか。
建設地はアシスト21の西隣にあった平面駐車場跡。急患センター通りに面して小さな建物が3棟あり、建設前はこれらを払い除けて区画を占有すると思っていた。アシスト21側の区画道路に玄関を設けて、2005年の現況(上の写真)のまま完工したのには驚いた。まさか北九州で路地裏にタワーマンションが建つとは・・・。
城内タワー(2005)や門司ミッドエア(2010)を設計した黒川雅之はこう言っている。
タワーには独特の“象徴性”があります。そこに住むだけで、誇らしさや優越感を感じられる、まさにステイタスシンボルです。当然、多くの人が憧れるような魅力がないといけません。近くを通った人が「あそこに行きたい!」「あそこに住みたい!」と感じるような演出が必要ということです。そういう意味で、タワーにおいて重要なのは実は足元(=地上階)なのです。
北九州のような土地が馬鹿安い場所で、なぜ路地裏を開発しなければならないのか。徳増興産は香春口交差点のオールセインツ(2001)でも交差点に面した猫の額ほどの土地をそのままにして裏に建物を建てた。地上げが苦手なのだろうか。建物の見栄えは気にするのに、目線の足元が乱雑では台無しだ。
2007年8月25日作成、2008年12月20日更新
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Thomas Tower (Apartment Bldg.)