2009年6月21日更新
本庁舎
左が本庁舎、右が車庫 2棟は通路で結ばれる
1963年竣工の現庁舎 新庁舎の建設地は手前右側のNHK北九州跡地
北九州市警は、福岡県警の北九州地区11警察署を統括する方面本部。正式には北九州市警察部という。市警察部(市警)は政令市に設置が認められるが、政令市はもっぱら県都であるため、市内にある警察本部(県警)が市警を兼務している。実際に実働部隊を有すのは全国で北九州市警だけだ。
もっとも北九州市警にしても看板は「福岡県警」、庁舎は「小倉北署」であり、市民でも市警の存在を知らない方が多い。北九州で福岡県警と言われても親しみを感じない。ご当地ナンバープレートのように看板は「北九州市警」にならないか。
現在の警察庁舎は新庁舎の小文字通り向かいにあり、1963年度に建設された北九州市警察部の庁舎と、1965年度に増築された小倉北警察署の庁舎からなる。建物は高度成長期の粗製濫造だから、老朽化と狭隘化がはなはだしい。ここに職員総勢473名(2005)を詰め込むのは無理があろう。
新庁舎の建設は北九州市が警察庁舎の敷地一部を道路用地(大門木町線の新勝山公園の区間)として収用し、立ち退きを要請することで実現した。財政難の福岡県は台帳上の残存価格が5億円あまりなのに移転補償費20億円あまりを北九州市から分捕り、警察庁舎を道路向かいに移転新築することを承認した。
福岡県はNHK北九州放送局跡地と、その北側にある小倉簡易裁判所跡地を国から購入し、両者をまとめたL字形の敷地6516.8㎡に新しい警察庁舎を建設した。
本庁舎は小文字通り沿いに立地する。床利用は1~8階が小倉北警察署、9~11階が北九州市警察部、12階は武道場と80席の食堂(一般利用可)。写真を見ると屋上利用もありそうだ。現庁舎は延床面積約8200㎡だから、本庁舎の1万6393㎡は約2倍の規模がある。北側の大門木町線沿いに警察車両用の5階建て車庫も建設し、1階の一部に射撃場を設ける。工期が3年に及んだのは県の財政難のためだろう。
本庁舎は分譲マンションよろしく南向きの板チョコ形だ。幅がないことから一般的な意匠であれば側面はベタ壁になりそうだが、小倉城側の側面をファサードに仕立て、胸壁に燦然と旭日章を掲げた。おそらく警視庁(1980)を念頭に考案をめぐらせたとみえる。小文字通りを太陽の橋方面からやってくる人や車は、前方の小高い場所に旭日章を掲げた塔のような建物を仰ぎ見る。
しかし警視庁のある三叉路と、北九州市警のある交差点では、同じ角地でも条件が違う。スカスカの空間に板のような建物は別の角度から眺めると間抜けだ。ある一点からの視覚効果を狙うあまり、本庁舎と車庫が一体的な建築計画になっていないのも問題だ。全体としては、本庁舎の建設後に隣接地を取得、車庫を適当に増築して、通路で繋いだような継ぎはぎな印象を受ける。
小文字通りと大門木町線は等しく目抜き通りなのだから、警察庁舎は5~6階建てのL字形として、車庫や射撃場は裏庭に回したほうがこの場所にふさわしかった。そのほうが大門木町線向かいの松本清張記念館(1998)とも合う。城内・大手町界隈は金をかけたよい建物が多いが、街並みとの調和がいかにも軽んじられている。街区の空間デザインがなければ、よい建物が建ってもよい街並みにはならない。
2007年10月1日作成、2009年6月12日更新
©2010 ガゾーン 転載自由。著作権は関門通信またはその情報提供者に属します。
Kitakyûsyû City Police Headquarters