2006年11月26日更新
上野ビルは、三菱合資会社が若松支店として1913年に建設した事務所。本館に三菱の痕跡はないが、敷地左手に煉瓦の倉庫があり、切妻破風に三菱の社章が刻まれる。
若松の表玄関となる市営渡船の若松渡し場を出て左手に位置し、若松南海岸(若松バンド)へ足を踏み入れた来街者が最初に目の当たりにする。若松の近代建築でもっとも大きく、もっとも無骨で、もっとも華麗な建築物だ。
現在の所有者は船舶代理店などを営む上野海運。「テナント募集」の看板から分かるように現役の貸事務所であり、同社のほか地元の零細企業が事務所を構える。
三菱は明治維新に始まる近代日本と歩みを同じくして規模を拡大し、名門に恥じない豪華な支店を各地で建設した。若松支店も日本一の石炭積出港にふさわしい規模と内容を誇った。
竣工当時の建物は兜型の庇のついた玄関が1階の中央に位置し、正面右側の塔屋が目印だった。柱型の上端がアーチ状に伸び、その間には手摺があった。ドイツ煉瓦を建材としながらモルタルで塗り潰したのは当時の当世風で、後に戦災などを受けて修復したからではない。
胸壁を潰してコンクリートの4階を乗せ、同じくコンクリートで玄関を増築したのは三菱がこの地を去ってからだろう。現在の上野ビルはつぎはぎだらけでお化け屋敷のようだが、内部は2~3階に鋳鉄柱の吹き抜け空間を設け、天窓にステンドグラスをはめ込んだ華麗な姿を残す。
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Ueno Shipping Bldg. (Former Mitsubishi Corp. Wakamatu Branch)