2006年01月03日更新
福岡中央銀行門司支店は、1924年に旧藤本ビルブローカー銀行門司支店として開設された。
「ビルブローカー銀行」は当時六つあった銀行種別(中央銀行、特殊銀行、都市銀行、地方銀行、貯蓄銀行、ビルブローカー銀行)の一つで、コール取引(金融機関同士が取引する超短期の資金貸借)を行う銀行を指す。北九州市立大学の迎由理男氏によれば、藤本ビルブローカー銀行門司支店は「関門金融市場最大の資金供給者であり、コールの取り手であった」。
世界恐慌前の関門金融市場の覇者にしてはやけにこじんまりしてかわいらしい建物だが、一般を相手にした銀行ではないのだからこんなものだろう。
藤本ビルブローカー銀行が撤退した後は正金相互銀行の支店が入居し、同行は後に福岡中央銀行と名前を変えて現在にいたる。福岡中央銀行はこの支店の道路向かいにある福岡ひびき信用金庫よりも預金残高が少ない銀行だ。
建物は腰に石を張りめぐらし、胸壁を縦に刻み込む。柱型を強調するなど壁面の彫りが深く、全体的に縦を強調する。窓は玄関上の三つだけが円形アーチ。ちなみに道路真向かいの福岡ひびき信用金庫門司港支店(1930)も玄関上の3組の窓を円形アーチ風に塗り分ける。両者はお揃いだ。
「いま一つ冴えないのはのっぺりした茶色の外壁のせいか」と以前書いたが、このクリーム色はどうだろう。冴えないのは色の問題ではなさそうだ。デザインに破綻があるわけではないが、この建物はなにかが足りない。
玄関部分を妻として塔状に突き出した上で切妻屋根を被せれば形として安定するのではないか。2階天井ですっぱり切り取ったような造形だから、胸壁が不必要に気になって違和感を感ずる。
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