2008年11月1日更新
旧岩田商店 母屋 2005年6月
旧岩田商店 表門 2005年6月
旧岩田商店 裏側の耐火壁 2005年6月
旧岩田商店 店構え 2005年6月
「岩田家住宅」として市指定文化財になるも、2006年9月の台風13号で被災して損壊したまま 2010年10月
岩田家住宅 国道2号側は亀裂が入るも、損壊は免れる 2010年10月
岩田家住宅 文化財になって案内板を設置 ※クリックで拡大 2010年10月
おまけ 岩田家住宅付近にある焼肉屋 界隈には味のある木造建築が多い 2010年10月
玄関上に岩田商店と掲げるが、右手には岩田酒店と書いてある。酒屋ということで、見出しは後者に与した。建物は「戦災の被害が甚大であった門司港地区に残された数少ない町家建築」として、2006年7月20日に北九州市指定文化財になった。対象は主屋、土蔵、宅地。個人住宅としては市内で初めての指定という。
旧岩田酒店は国道2号東本町2丁目交差点の北西角にある。関門国道トンネル手前だから、目にしたことのある方は多かろう。わたしも「あそこに旧岩田酒店が」と思いつつ、気ぜわしい場所だからいつも素通りしてじっくり見物したことがなかった。近寄って見物したのは今回が初めて。
旧岩田酒店は入母屋造の和風建築が基本形。密集地対応で西側はすっぱり切り落とす。目立つのは隣家側に設けた煉瓦の耐火壁。建物の形状からして西側(写真1枚目)が竣工当時からのものだろう。この街区では1932年と1945年(門司大空襲)に火災があり、耐火壁を北側にも拡張(3枚目写真)して、建物を街区から完全に隔離した。
耐火壁は増築の痕跡がくっきり残る興味深い代物だ。「向かいのあさひ座が火事になったとき、漆喰壁と鉄製のむしこ窓によって延焼を免れた」(JMRA九州)という記述から推察して、火は竣工当時の耐火壁を越える勢いだったろう。従って、耐火壁の増築では北側に新たに壁を設けたほか、既存の耐火壁もさらに上へ積み増した。
こんな大仰な煉瓦壁を拵えてまで守ってきた建物は、遠目には単に汚らしい建物に見える。しかし鼠漆喰は間近で眺めると惚れ惚れする渋さだ。つやつやてらてらぴかぴかしたのはいいかげん食傷した。最近は世界的に和風が流行る傾向があるが、つや消しの焼き物みたいな建築ができれば、きっと世界的な注目を浴びるだろう。
2006年9月、台風13号の被害を受けて煉瓦の耐火壁が壊れた。隣接する西側と北側の区画が空き地になって、吹きさらしになったのがよくなかった。耐火壁は建物と建物のあいだに挟まっているのが前提であり、構造としては堅牢ではない。建物は損壊部分をトタンで塞ぎ、現在に至っている。
2006年10月26日作成、2008年10月5日更新
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