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2008年04月14日更新

NTT門司営業所

設計・施工
山田守=逓信省(設計)
竣工・規模等
1924年竣工、RC、地上3階
場所
北九州市門司区浜町4-1
画像

NTT門司営業所は、NTT西日本(本社、大阪市)が所有する現役の稼動施設。旧門司郵便局電話課。電話局は大型機械を設置する必要があり、3階建てのわりに天井が高い。延床も門司港の近代建築としては大柄な部類に入る。現在は北隣に交換局(?)があり、古い建物には営業所と博物館が収まる。

設計者の山田守は分離派建築会の一人。分離派というのは、20世紀の前半、舶来の様式建築を消化するだけの受動性に飽き足らなくなった若手が始めた芸術運動の一種で、簡単に言えば当時のアバンギャルド(前衛)だ。様式建築を「分離」して、自らの新建築を創造することを志向した。

20世紀前半は芸術全般にアバンギャルドが流行った。音楽でも後期ロマン派が廃れて現代音楽(無調音楽)に移った。運動の震源地は芸術文化の中心地ウィーン。かの地では音楽と美術、建築が密接に影響しあって芸術表現の新境地を開いた。日本に伝播するには数十年の歳月が必要だった。

門司郵便局電話課が竣工した1924年は、山田守が逓信省に入省して新鋭の建築家として第一歩を踏み出した時期に当たる。初期の最高傑作は東京電信電話局とされる。この優美な放物線を持つ建築物は残念ながら現存しないが、山田はこの時期に全国各地で電話局や郵便局を手がけた。

門司郵便局電話課は東京電信電話局と比較すれば手堅い作品だ。外観はL字形のファサードを覆う細長い上下窓を方立(マリオン)で挟み込み、上部を山形に処理した。この山形部分に蛇口があり、火災の際は水が流れ出して窓が割れるのを防ぐ仕組みだった。玄関に嘴のような庇を取り付け、その両脇に2本組の柱型を掘り込む。この玄関の意匠は作者性が高い。

建物が立地する浜町は門司港レトロの中心地から遠いが、NTT西日本は門司港レトロ事業に対して協力を惜しまなかった。1994年、建物を解体撤去して新築する方針を撤回し、3階に門司電気通信レトロ館を設けた。大正から昭和にかけて活躍した電信電話機など約380点を展示する。

参照記事(他サイト)
山田守建築事務所
NTT門司営業所 - 建築マップ
関連項目(ガゾーン内)
福岡中央銀行門司支店 - 櫛刻みの胸壁が特徴の分離派風。同年竣工
福岡ひびき信金門司港支店 -トンネル風の玄関が特徴の元信金本店
門司区役所 - 戦前の庁舎。港町らしい垢抜けた庁舎。国登録文化財
下関市役所第一別館 - 設計者不詳の分離派。パラボラ屋根が特徴

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