2008年10月5日更新
山口銀行別館は、下関市に本店を置く山口銀行が所有する事務所。場所は国道9号と並行する旧山陽道沿い。この界隈は関門が「西部」(中国と九州に分割される前の関西以西)の中枢拠点だった時代は有力な金融街だった。
しばらく空き家になっていたが、現在は同行の山口経済研究所ほか、クレジット業務のやまぎんディーシー、抵当証券融資・販売の山口抵当証券が入居する。建物は入居者があってのもので、本来の用途のまま利用し続けるがいちばんだ。記念館や博物館へ模様替えするのは最良の選択ではない。
山銀別館は1920年に三井銀行が下関支店として建設した。1933年に百十銀行が山口市から下関市へ移転してこの建物に本店を構えた。1944年に百十銀行は山口銀行と名称を変え、1965年に竹崎町の新本店が竣工して、旧本店は観音崎支店に降格した。1973-5年には日本銀行下関支店が店舗改築中に仮店舗とした。
山口銀行はこの建物を設立当時の状況に復原・保存するために、2004-5年に耐震補強工事をするとともに意匠・仕様を復原した。2005年9月に山口県指定有形文化財の指定を受けた。
設計の長野字平治(1867-1937)は銀行建築の名手。山銀別館はかれの「古典主義銀行建築の代表作」(まちよそ)という。正面は櫛型に処理した大きな開口部に1・2階の上下窓を組にしてはめ込む。柱型をギリシャ風の付け柱で飾り、玄関上の胸壁に櫛形破風を取り合わせ、軒下には牛の頭を象った彫刻を掘り込む。側面は手抜きしてモルタル塗りで済ませたようだ。
近代の銀行支店建築は一般に平屋が多い。2階の窓に見えるのはもっぱら高窓で、内部は吹き抜けになっている。この建物の内部は2層吹き抜けの営業室を中心として、窓際に歩廊をめぐらす。奥にある2階の床は後の時代の改築によるものか。
写真ではこじんまり見えるが、実物は威圧感を感ずるほど大きい。事実、軒高は隣の3階建てよりも高い。正面の煤けた御影石は、復原したにしては歴史が洗い落とされていない。ただ、建物に威厳がありすぎて町並みから浮いている印象は否めない。
山銀別館の敷地内には仮設建築のような別棟もある。別館に入りきらない事務室を収容したらしいが、片手落ちではないか。別館に見劣らないよい建物を建てて、旧金融街の魅力を高めてもらいたい。
2006年09月28日作成
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