2004年11月20日更新
中津市には古式ゆかしい日本建築が散在するが、洋風建築は多くない。中津市歴史民俗資料館(旧小幡記念図書館)は、中津市の数少ない近代建築というだけでなく、1982年に日本建築学会により昭和初期の建築物として建築学的に見て貴重であると認定された。1997年には国登録文化財に指定された。
図書館は1909年に慶応義塾二代目塾長を務めた小幡篤次郎の遺言により、土地、家屋、蔵書の寄贈を受けて設立された。現在の建物は1938年の改築による。新図書館建設に伴い、1992年からは中津市歴史民俗資料館にとして再出発した。この建物のななめ後ろに現在の小幡記念図書館(槇文彦設計、1993)がある。
外観はどことなく教会建築を思わせる。切妻面2階にある大きな円形アーチ窓や丸い採光窓に、明治から戦前の教会建築と共通の手法が見て取れる。切妻面が正面で、棟の上に十字架が掲げてあったとすればどうだろうか。
しかしこの建物は妻ではなく、平に不釣合いなほど大きな石張りの玄関部を設ける。玄関右側にずらりと円形アーチ窓を四つも並べたのがいかにも日本的だ。日本では「窓すなわち採光」であり、洋風の窓を取り入れても開口部を大きくして建物内部に自然光を取り込みたいという本能的な欲求は抑えられなかった。この自然に対する揺ぎない信頼、隣人に対する無条件の安心には恐れ入る。和魂洋才の産物なのだろう。
水色で縁取った赤い屋根と白い壁面の対比は品がよいが、壁面は亀裂が目立ち、保存状態は思わしくない。なるほど石張りの大きな玄関の重厚さには見惚れる。アルミのペラペラ扉はぜひやめてもらいたい。建築に関心を持つ人間は多数とはいえず、人は目先のものに捕らわれがちだ。
多勢に愛されなければ修復保存の機運は盛り上がるまい。目立つ場所を粗末にすることの悪影響を見くびってはいけない。
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Nakatu Municipal Museum of Folk History