2006年03月23日更新
山口宇部空港は、国が設置して山口県が管理する空港(第二種B空港)。3桁コードはUBJ。4桁コードはRJDC。航空交通管制官は配置されておらず、福岡航空交通管制部が指示を下す。山口宇部空港の空域には新北九州空港が存在し、同じ空域には1機しか進入できない決まりだから、相手空港の運用状況に影響を受ける。両者は運命共同体だ。
定期旅客便は全日空の羽田便が1日5往復、日本航空ジャパンの羽田便が1日3往復。2005年のチャーター便の実績は、国内外便が13便。2004年の年間旅客数は92万0401人。貨物便は運航されていない。
空港は宇部の中心市街地から車で10分程度の周防灘沿岸にあり、利便性はすこぶるよい。地先埋立地だから半分海上空港のようなもので、気象も安定して欠航便がほとんどない。難があるとすれば、宇部の市場が小さいことだろう。都心隣接空港の利便性を享受できるのは宇部・小野田地域の約30万人。
空港への交通機関といえば都会人なら鉄道を思い浮かべる。宇部市は鉄道に軽んじられた都市だ。JR山陽線は山の中を通過して宇部市街地には立ち寄らない。実は空港の目の前をJR宇部線が通るのだが、この路線は情けなくも1時間に1本運行の単線だから、まるで使い物にならない。当然に鉄道は通っても空港前に駅は存在しない。
山口宇部空港までの公共交通機関としては連絡バスがある。宇部市交通局が宇部新川駅行きと新山口駅行きをそれぞれ1日8往復、サンデン交通が下関駅行きを1日8往復運行する。時刻表は航空機の発着に1対1で対応。このほか、萩、山口・湯田温泉、周南への乗り合いタクシーもある。
しかし山口宇部空港の利用客のほとんどは自家用車で空港へ出向く。山口宇部空港には1500台の無料駐車場があり、中長期の出張客に重宝がられている。空港の手前には山口宇部有料道路の入口があり、高速道路との接続も悪くない。ただ、あと2キロも伸ばせば空港なのだから、どうせなら空港前まで道路を延伸してもらえないだろうか。
山口宇部空港は1966年に宇部空港として開港した。当初は延長1200mの滑走路で供用を開始し、 全日空の東京便が1日1往復、日本国内航空の大阪便が1日1往復した。1200m滑走路の最盛期は山陽新幹線が開通する以前の1960年代後半~1970年代前半。東京便が2往復、大阪便が3往復だった。1975年に山陽新幹線が開通し、1977年に大阪便が全廃された。
山口宇部空港と北九州(曽根)空港はともに滑走路が短く、ジェット機の時代に対応できなかった。山陽新幹線の開通によって止めを刺されたのも同じだ。
この時期、西日本の中枢拠点を驕る北九州市は周防灘沖に新空港を建設する構想を持っていた。国が1969年に策定した新全国総合開発計画では、3000m、3300m、3800m、4500mの4本の滑走路を有す「周防灘国際空港」だったそうだ。この巨大空港は現在の新北九州空港人工島(はーとぽーと21)の約5倍の面積を有し、北九州市から空港島経由で山陽小野田市へ抜ける高速道路も描かれていた。
山口宇部空港と新北九州空港は直線距離にして20キロ程度しか離れておらず、空港の重複配置の最たるものと非難される。いま振り返れば狂気の沙汰としか思えない高度経済成長期の構想は、宇部空港と北九州(曽根)空港を一つにまとめ、石炭で身を起こした関門都市圏を融合させるためのものだった。しかし、この壮大な事業は実現しなかった。
北九州市はそれでも周防灘沖の新空港建設へと突き進んだが、宇部空港は現実的な選択をした。すなわち、現空港の滑走路を延長してジェット機に対応することを選んだ。宇部空港は1979年に旧滑走路の運用を休止し、延長2000mの新滑走路の供用を開始した。1980年には空港名を山口宇部空港と改称、旅客ターミナルビル(後に国際線ターミナル)の供用を開始して、東京便はプロペラ機からジェット機へ変わった。
その後は那覇線や札幌線が開設された時期もあったが、現在は就航していない。旅客機の大型化に対応するため、2000年に延長2500mの新滑走路の供用を開始し、国内線ターミナルビルを増設した。順調な羽田線は滑走路を延長するたびに機材が大きくなり、2002年には待望の全日空と日本航空ジャパンの2社体制になった。現在は2社で8往復を運航する。
山口宇部空港の悩みは2006年に開港した新北九州空港だ。この海上空港は新全国総合開発計画の構想と比較すれば見る影もなくみすぼらしいが、大市場の下関市が両空港の空港後背地に存在することから、両者が激しく火花を散らしている。
周防灘国際空港は宇部・小野田地域と北九州市の夢の架け橋になるはずだった。生みの親は下関市の旧第四港湾建設局。関門の仲間が手を取り合って夢見た海上空港の成れの果てが、皆を引き裂く火種になると当時だれが想像したろう。
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