2008年11月24日更新
長門市場の中心。両側は竹崎改良住宅
よろずや ボストン付近
長門市場裏の街区
長門市場入口付近のJR山陽線ガード下
長門市場は、下関最大の商店街・グリーンモールとJR山陽線を挟んで相対する生鮮品市場。戦後、祖国へ帰れなかった朝鮮系市民が中心となって市場を起こした。数百メートル離れた下関漁港で水揚げした生鮮品を主に扱った。「鮮魚や野菜をはじめ、韓国料理の食材やくじら、うに、フカの湯引きなど、庶民の味覚が格安で並ぶ」(下関市)。
グリーンモール周辺は竹崎改良住宅と呼ばれる戦災復興アパートが何棟もある。長門市場はそのうちの区画道路を挟んで相対する大型2棟を使用する。建物は1階が店舗、2~5階が共同住宅の複合ビル。長門市場は1階を柱だけ残して完全にぶち抜き、ピロティ駐車場のような場所に露店が並ぶ。
長門市場の狭い目抜き通りは独特の佇まいだ。幕を下ろした暗い市場が両側から迫り、店先から視線を上げると違法増築したバラックが共同住宅のベランダに迫り出す。資料でしか見たことのない戦後復興期の町並みそのものだ。隣接地にはボストンというよろずやもあり、品物を眺めていると過去に時代旅行したような感覚が楽しめる。
長門市場はポッタリチャンサ(日韓の日用品貿易を手がける女商人)の活躍の場でもある。ここらにある免税店などで日本の電気製品などを仕入れて釜山へ渡り、品物を仲買人に渡したのちは韓国の農産物などを仕込んで日本へ持ち帰る。関釜フェリーはそんなポッタリチャンサが毎便100名前後も乗り込み、航路の安定維持を図ってきた。
日韓の貿易自由化が進み、技術格差もなくなった現在では、ポッタリチャンサが日本からわざわざ持ち出す品物もなければ、反対に韓国から持ち帰る品物もないように思う。下関のポッタリチャンサに限って言えば、いまは生業ではなく「楽しみ」で続けている人が大部分だそうだ。
2006年4月4日作成
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Nagato Market (Little Busan), Simonoseki