2022年04月30日更新
河内藤園藤見ガイドは2022年版をもって終了しました。
河内藤園は(コロナ渦の三密回避のためではなく)藤園の保全のため2016年から入園規制を実施している。4月23日(土)から5月5日(木)までの期間は、セブンイレブンまたはファミリーマートで日時指定入園券(コンビニチケット)を事前購入し、来園当日に差額の入園料(0~1000円)を支払う二段階方式。
入園料が開花状況で変動するのは地元客相手にひっそり営業していたころの名残りで、現在は開花時期が大幅に前後しない限り差額の入園料は1000円と見てよい。高校生以下は大人同伴で2名まで無料。5月6日以降、閉園の日までは入園規制はなく、現地で入園料(500円~1500円)を支払えば入園できる。
コンビニチケットは来園したい日の来園したい時間(8~10時、10~12時、12~14時、14~16時、16~18時)を選択して購入する。選択するのは来園する時間であり、園内での滞在時間は拘束されない。たとえば8~10時指定のコンビニチケットで10時に入園し、13時まで園内ですごしても問題ない。いちど退出したら入園しなおすことはできない。
コンビニチケットは4月1日から発売中。早々に売り切れるものではないから、開花状況を見ながら引きつけて買いたい。
2022年の河内藤園は「旅々やまぐち割」「福岡の避密(ひみつ)の旅」などの県民割を利用した格安バスツアーが集客力を発揮して昨年よりは賑やかになりそうだ。ただ、コロナ前は来園者の6割を占めた外国人が今年も来ない。一般客を送迎するシャトルバスの運行もなく、藤園側としては大入りは見込まず贔屓客の皆さんに今年の出来栄えを見てもらえればよい程度の姿勢だろう。全体としてはコロナ前の3~4割の人出と占う。
見ごろは大型連休中になりそうだが、今年の藤園に新規の話題性のある材料はなく、検索状況や口コミなどを調べても特に盛り上がっている様子はない。2015年のピークから7年が経過して人気が一巡した側面もある。よって、今年も園内の大混雑を恐れて大型連休中の訪問をためらう必要は一切ない。
園内が混雑するのは9時から15時くらいまで。早朝は撮影目的の来園者が多く、撮影者の視線が気になって自由に散策するのが憚られる。一方、日が傾くと客足が引くのも早く、16時以降は散策するのに向いている。
今年は4月28日開業のジ・アウトレット北九州の影響に注意しよう。この西日本最大の巨大商業施設は八幡東区の道路状況を一変させる可能性がある。同日以降はアクセス道路となる都市高速4号や国道3号、旧電車通りなどで去年までは見られなかった渋滞が発生する恐れが強い。遠方から高速道路で北九州入りする方は渋滞を避けるため田代町を経由して河内に向かうことを勧める。
河内藤園は皿倉山の南斜面、標高240~300メートルの山中にある。園内はかなりの高低差があり、散策路は急勾配で一部が舗装されていない。都心の花公園のように着飾って訪ねる場所ではない。
路面が悪いから登山靴などのしっかりした靴を着用しよう。日が陰ると急に寒くなるから上着を用意しよう。園内で飲食物は提供されないから飲食したい場合は持参しよう。一言でいえば、ハイキングの準備をして出かけよう。持参の弁当を広げてピクニックする場所は園内にある。
園内でカラオケなどの騒がしい行為はしない。動画や写真は必ず手持ち撮影する。三脚や一脚、スタビライザー、ドローンは使用しない。ペットは同伴できず、預かり所もないから連れてこないようにしよう。
便所は臭うので園内から除去された。入園規制前は園内にあったが、来園者激増で悪臭が半径数十メートル先まで漂い、藤の芳香を台無しにした。藤園の主は藤の芳香をとても大切にする方で、屋台の出店を認めないのも臭いが許せないからだという。
第一駐車場の片隅にある仮設トイレは水洗でそのへんのコンビニより清潔に保たれるが、室内が狭くてあちこちに触れるから感染リスクを気にする方は別の場所で用を足してから来園することを勧める。写真の左5基が女子用、右の3基が男子用(和式)。便所の左横に手洗いがある。
桜は一輪の花が咲いたときから花吹雪となって散るときまで美しい。藤もそうかと言えば、残念ながらそうではない。見ごろは満開時の数日に凝縮されるように思う。
2015年の満開は5月2~5日あたりだった。上の写真はその1週間前、4月25日の撮影。藤は花房の上から下に向けて花をつける。咲き始めは小高い丘から見下ろせばきれいだが、藤トンネルや藤棚に入って見上げると寒々した絵になる。藤は芳香が強く、来園者はその香りに感動しながらも、「まだ早かった」と口ぐちにつぶやき、園内を足早に1周して帰ってゆく。
上と同じ場所が5月2日の満開時はこうなる。魔法をかけたような圧倒的な開花量に目を見開く。
そして満開から1週間が経過した5月9日。写真はそれなりに見えるが、花に色つやがない。散らず枯れた花が腐敗臭を放ち、夏草のむっとした臭いが立ち込める。来園者は長居しない。
河内藤園に魅せられて遠方から訪ねようと考えている方には満開時の来園を強く勧める。日程の都合がつかず咲き始めや終わりかけの来園を考えているのなら、いっそ来園を中止して近所の藤棚の満開を探してはどうだろう。藤棚は満開のときに訪れてこそ価値がある。感動に太鼓判を押せる期間は3日程度しかない。
河内藤園の開花状況は当サイトの紹介ページで確認しよう。
河内藤園は市街地からやや離れた北九州国定公園内の山間部にあり、2011年に路線バスが廃止されてからは旅行者が気軽に立ち寄れる場所ではない。河内藤園のシャトルバスは今年もコロナ渦を理由に運行が見送られる。
2022年の懸念材料は4月28日開業のジ・アウトレット北九州。開業後の道路状況を3日間(28~30日)観察した限りで言えば、迂回ルートを取らなければならないほどの渋滞は発生していない。例年より多少(30分くらい)時間に余裕をもって行動すればよいのではないか。河内藤園に向かう山間の一本道である県道62号に渋滞は発生していない。
河内藤園への交通手段は自動車が望ましい。自動車以外での来園は本来想定されていない。アクセス道路となる県道62号と県道61号に渋滞はなく、現地駐車場は十分な容量が確保されている。しかも終日無料。公共交通機関を利用して北九州入りする方にはレンタカーの利用を強く勧める。
[大蔵経由] 北九州都市高速道路4号線「山路」または「大谷」ランプ下車、約15~17分。八幡東区の旧電車通り大蔵二丁目交差点から県道62号に入り、10分あれば現地に到着する。園内で飲食したい方は大蔵で買い物を済ませよう。道路案内図はページ下。
[田代町経由] 九州自動車道「小倉南」または「八幡」インター下車、約22~24分。小倉南区の国道322号または八幡西区の国道211号から県道61号に入り、山間の小集落、田代町で県道62号へ入る。園内で飲食したい方は国道沿いで買い物を済ませよう。
峠道の県道61号は崖崩れによる片側通行規制がたびたび発生する。渋滞の原因にはならないが長閑な山間でカーブの先に信号待ちの車列を見つけて急ブレーキの危険はある。道路案内図はページ下。
[駐車場] 現地では係員の誘導に従って駐車場に入る。藤園から遠い駐車場に案内されても腐らない。もっとも遠い旧あじさいの湯第二駐車場(徒歩10分以上)は現在利用しない。駐車料金は終日無料。
駐車場は藤園から近い順に案内される。河内藤園第一駐車場(未舗装)→河内藤園第二駐車場(未舗装)→旧あじさいの湯第一駐車場(舗装)の順。
河内藤園第一駐車場は藤園の入口前で利便性が高いがすぐに埋まり、河内藤園第二駐車場(上の写真)に案内されることが多い。しかし河内藤園第二駐車場は雨の日にぬかるむ。クルマや靴が泥だらけになるから、天気がよくない日は係員の案内を待たず自分から旧あじさいの湯第一駐車場に入ってしまおう。
最寄りの河内小学校前バス停は2011年に廃止された。八幡駅発着の56番路線は終点が短縮され、2022年現在は「上重田」行きに。終点の上重田バス停から河内藤園は道なりに3.7キロ、徒歩47分。参考:八幡東区のバス路線図。
上重田バス停以南は景観がよく、県道61号に沿って遊歩道(鱒渕八幡東自転車道線)も整備されている。道中には公衆便所(3か所)や自販機(3か所)もある。普段から歩きなれた方なら準備しなくても歩ける行程だろう。
路線バスの廃止に伴う代替交通として第一交通がおでかけ交通なる乗合タクシーを運行している。運行本数は平日14便、土日祝日4便。運賃は片道400円(大人)。時刻表と運行ルートはこちら。前日16時までの予約が必要になる。なお、起点の「サンキュードラック前」は同店が解体撤去されたのを受けて大蔵市民センターに移動したようだ。
この乗合タクシーを利用する場合は、市内各地から路線バスに乗車して大蔵バス停で下車し、黒崎方面乗り場の西隣にある大蔵市民センターに移動する。上のストリートビューでバス停の後ろの公園の木の奥に見える2階建ての建物が大蔵市民センター。そこから乗合タクシーに乗車して河内小学校前までは約12分。
河内小学校前の乗り場。以前の路線バスの河内小学校前バス停。ここから河内藤園は長い坂道を道なりに約950メートル、徒歩15分。
八幡駅から片道約2680円(約20分)、小倉駅から片道約3800円(約30分)。
見ごろ時期になると八幡駅前に河内藤園行きの藤見客が集まる。コロナ前は互いに声をかけて相乗りすることを勧めたが、コロナ渦の現在はそうもいかない。帰りのタクシーは河内藤園シャトルバス乗り場で見つかる。事前に手配する必要はない。
余談になるが、河内藤園は上の写真の真正面に見える皿倉山の裏側にある。
コロナ感染対策と三密回避のためシャトルバスは今年も運休する。シャトルバスは公共サービスではなく、河内藤園自らがバスと運転手をチャーターして期間限定で運行する無料サービス。外国人客不在で多くの来園者が見込めないのにコストが大幅に増加するとなれば、運休はやむを得ない。
あじさいの湯は2018年12月から休業中。運営を引き継ぐ事業者が見つからない。外国人や遠方客に幅広く利用された送迎バスはもうない。
上の地図は市街地の3地点(大蔵、小倉南インター、八幡インター)から河内藤園までの道のりを示す。県道61号や県道62号の沿道情報は2021年4月11日の現地調査によるが、検索して分かる範囲で2022年用に更新してある。
2022年4月19日作成、4月30日更新
©2022 ガゾーン 転載自由。許可不要。著作権は関門通信またはその情報提供者に属します。
Kawati Huzien (Kawachi Wisteria Garden, or Kawachi Fuji Garden)