2011年1月16日更新
飯塚バスセンター(改装後) 2005年7月
飯塚バスセンター(改装前) 2003年9月
飯塚バスセンターは、飯塚市の拠点交通ターミナル。西鉄バスが発着する。飯塚の中心商業地である吉原町に位置し、東隣には2003年11月開業の複合商業施設 あいタウンがある。建物は1階がバスセンター、2階より上は1998年に商業施設「エマックス」が閉店して以降、空き家になっている。
バスセンターの利用者は約21万人/月。JR新飯塚駅の12万3116人/月や、JR飯塚駅の4万9985人/月より圧倒的に多い。鉄道の幹線から離れた都市では、バスセンターが都市の交通拠点となることが多い。付近では田川がそうだし、宇部のような大きな都市でもそうだ。
飯塚には二つの顔がある。筑豊の拠点都市としての顔と、大都市の郊外としての顔。鉄道駅は市民を北九州や福岡へ逃がす遠心力になるが、バスセンターは近郊から人を集める求心力の役割を果たす。飯塚市やJR九州は新飯塚駅の拠点化に躍起だが、鉄道駅の整備は諸刃の剣で、そう無邪気には喜べない。
鉄道駅前が便利・快適になれば、福岡へ転出した市民の一部が里帰りするかもしれない。しかし、それ以上に市民の流出の機会が増えるかもしれない。来街者を増やすためには、併せてバスセンターの利用促進を図る必要があろう。
消息筋によれば、バスセンターは1~3階に店舗を入れる方針と市議会で公表されたものの、そののち再開の動きはないという。地元の商業関係者などが年に数回は西鉄本社を訪ねてエマックス再開を催促しているそうだが、建物は相当にくたびれて、大幅な改装は割に合うまい。
バスセンターは2003年3月で廃止になった飯塚市民プール跡地(徳前)に移転との噂もあったという。集客装置をこの場所から動かせば飯塚の中心市街地は息の根が止まる。新市発足に伴って穂波町へ移転する予定の飯塚市役所をここらへ移転して、バスセンターとの複合施設に建て替えてはどうか。
再開発というと短絡的に商業施設という発想になるが、飯塚の中心市街地はそれ以前に働く場所や住む場所がない。住宅も職場もない場所に商業集積だけがあっても成り立たない。住む場所があって、働く場所があれば、商業者は呼ばなくても勝手に擦り寄ってくる。
飯塚は住宅も職場も大学も郊外に立地して、市民が中心市街地に立ち寄る理由がなくなっている。飯塚市有数の職場である市役所までが福岡直結の八木山バイパス付近へ移転して大都市郊外を決め込めば、筑豊の拠点都市としての飯塚はだれが面倒をみるのか。
新市の事務所の位置は政治の駆け引き材料だから、いまさら「穂波町移転はやめよう」とは言い出せまい。しかし郊外に一大官公庁街を造成するような時代錯誤だけはやめてもらいたいものだ。
2005年7月26日作成
©2011 ガゾーン 転載自由。著作権は関門通信またはその情報提供者に属します。
Îzuka Bus Terminal