2019年05月12日更新
河内藤園の入園には予約券(コンビニチケット)が必要な期間がある。4月20日(土)~5月6日(月)は、事前にセブンイレブンまたはファミリーマートで日時指定入園券(500円)を購入し、当日に差額の入園料(0~1000円)を支払う二段階方式。
咲き始めや終わりかけなら予約500円と当日0円で計500円、中間なら予約500円と当日500円で計1000円、見ごろなら予約500円と当日1000円で計1500円になる。高校生以下は大人同伴で2名まで無料。予約期間の前後にあたる4月19日および5月7~12日は現地で入園料を払えばだれでも入園できる。
日時指定入園券は来園したい日の来園したい時間(8~10時、10~12時、12~14時、14~16時、16~18時、2時間間隔)を選択して購入する。選択するのは何時に入園するかであり、園内での滞在時間は制限されない。
たとえば8~10時の予約券で10時に入園し、13時まで園内ですごすのは問題ない。いちど退出したら入園しなおすことはできない。もっとも混雑するのは9~14時あたり。少しでも混雑を避けたい場合は夕方の来園を勧める。早朝は撮影目的の来園者が多く、いろいろと指図されて面倒くさい。
日時指定入園券は3月16日から発売中。早々に売り切れるものではなく、開花状況を見ながら引きつけて買いたい。予約制に移行した2016年以降の3年間は大型連休中でも3日前なら買えた。大型連休前後なら前日や当日でも手に入る。ただ、今年はJR九州の鉄道予約が64%増という話もある。多少余裕をもって買いたい。
河内藤園は2015年に人気のピークをつけた。現在の来園者数はピーク時の6~8割程度とみられる。人気度はグーグルの検索数からも窺える。人気離散は口コミの一巡もあるが、やはり入園規制の影響が大きい。大型連休中の周辺道路はガラガラで普段よりも空いているくらいだ。
今年も藤園に新規の話題性のある材料はなく、リピート客が大挙して押し寄せる状況にはない。満開は10連休中に収まりそうだが、同じく大型連休中に満開を迎えた2016~2017年も渋滞や混雑は見られなかった。今年が前例通りにならない理由がない。
すなわち、入園規制により渋滞はなく、他の行楽地と比較すれば園内の混雑もひどくない。渋滞や混雑を恐れて大型連休中の満開を避ける必要はまったくない。
河内藤園は皿倉山の南斜面、標高240~300メートルの山中にある。園内はかなりの高低差があり、散策路は急勾配で一部が舗装されていない。都心の花公園のように着飾って訪ねる場所ではない。
路面が悪いから登山靴などのしっかりした靴を着用しよう。日が陰ると急に寒くなるから上着を用意しよう。園内で飲食物は提供されないから飲食したい場合は持参しよう。一言でいえば、ハイキングの準備をして出かけよう。持参の弁当を広げてピクニックする場所は園内にある。
便所は臭うので園内にはない。駐車場の片隅に仮設トイレが8基あるが清潔とは言い難い。女性は別の場所で用を足してから来園することを勧める。
園内でカラオケなどの騒がしい行為はしない。動画や写真は必ず手持ちで撮影する。三脚や一脚、スタビライザー、ドローンは使用しない。ペットは同伴できないから連れてこないようにしよう。
桜は一輪の花が咲いたときから花吹雪となって散るときまで美しい。藤もそうかと言えば、残念ながらそうではない。見ごろは満開時の数日に凝縮されるように思う。
2015年の満開は5月2~5日あたりだった。上の写真はその1週間前、4月25日の撮影。藤は花房の上から下に向けて花をつける。咲き始めは小高い丘から見下ろせばきれいだが、藤トンネルや藤棚に入って見上げると寒々した絵になる。藤は芳香が強く、来園者はその香りに感動しながらも、「まだ早かった」と口ぐちにつぶやき、園内を足早に1周して帰ってゆく。
上と同じ場所が5月2日の満開時はこうなる。魔法をかけたような圧倒的な花の量に目を見開く。
そして満開から1週間が経過した5月9日。写真はそれなりに見えるが、花に色つやがない。散らず枯れた花が腐敗臭を放ち、夏草のむっとした臭いが立ち込める。来園者は長居しない。
河内藤園に魅せられて遠方から訪ねようと考えている方には満開時の来園を強く勧める。日程の都合がつかず咲き始めや終わりかけの来園を考えているのなら、いっそ来園を中止して近所の藤棚の満開を探してはどうだろう。藤棚は満開のときに訪れてこそ価値がある。感動に太鼓判を押せる期間は3日程度しかない。
河内藤園の開花状況は当サイトの紹介ページで確認しよう。
河内藤園は市街地からやや離れた北九州国定公園内の山間部にあり、2011年に路線バスが廃止されてからは公共交通機関が存在しない。河内貯水池べりは市民の憩いの場として各種行楽施設が整備されているが、せいぜい1000人程度の利用を想定したつくりであり、多数の行楽客が押し寄せると飽和状態になる。
2015年の満開時は現地への一本道である県道62号が6キロにわたって渋滞し、片道の所要時間が4時間に達した。山間の一本道だから渋滞に捕まると逃げられない。2016年以降は入園規制により大型連休中も渋滞はいっさい発生していない。入園規制が効きすぎて普段より閑散となるのは問題だと思う。
上の地図は市街地から河内藤園までの道のりを示す。県道61号の片側通行規制、県道62号の沿道にある駐車場や公衆便所、自販機、食事処などの情報は2019年4月14日時点の調査結果を示す。
西鉄の貸切バスが八幡駅南口と河内藤園を直通で結ぶ。今年の運行計画はこちら。運行期間は予約期間と同じ4月20日~5月6日。運行時間は八幡駅の始発が7時45分、河内藤園の終発が18時15分で、大雑把に30分毎の発着になる。片道の所要時間は約30分。八幡駅の乗り場は改札を出て駅前広場左側にある一般のバス停。乗車には予約券(コンビニチケット)が必要。運賃は無料。
今年は下記の送迎バスが廃止になったためシャトルバス利用者が大幅に増えそうだ。発着数を1時間に片道1本から2本に倍増して輸送力を増強するようだが、定員超過で乗れない可能性があることに留意しよう。
あじさいの湯は経営不振により2018年12月をもって休業した。送迎バスは廃止。河内藤園がシャトルバスを開設する以前は遠方客にとって唯一の交通手段であり、現在でも外国人客を中心にこの送迎バスが広く認知される。
送迎バスの八幡駅発着便に関しては河内藤園のシャトルバスも発着するので問題ないが、過去に福岡方面から高速バス経由で到津の森公園発着便を利用した方は、今年から到津の森公園から先の交通手段がなくなるので注意しよう。
八幡駅南口または到津の森公園(小倉~天神の高速バス停)から無料送迎バスがある。あじさいの湯から河内藤園までは徒歩5分。河内藤園とは無関係であり、施設利用(温泉 大人840円)が乗車条件。藤見客のタダ乗りに業を煮やしたのか、帰りの乗車券は入館券(入浴券)と引き換えになった。
最寄りの河内小学校前バス停は2011年に廃止された。八幡駅発着の56番路線は終点が短縮され、2019年現在は「上重田」行きに。終点の上重田バス停から河内藤園は道なりに3.7キロ、徒歩47分。参考:八幡東区のバス路線図。
上重田バス停以南は景観がよく、河内湖畔にはしゃれた遊歩道が通る。道中には公衆便所(4か所)や自販機(3か所)もある。普段から歩きなれた方なら準備しなくても歩ける行程だろう。
八幡駅から片道2750~3100円(約20分)、小倉駅から片道3870~4350円(約30分) ※タクシーサイト調べ。
見ごろ時は八幡駅前に河内藤園行きの藤見客が集まる。河内藤園シャトルバスは輸送力に課題があり、定員超過で乗れない場合はお互いに声をかけてタクシーに相乗りしよう。あるいは次のバスを30分待つかの選択になる。帰りのタクシーは河内藤園付近で見つかる。事前に手配する必要はない。
河内藤園へのアクセスは基本的にバスよりも自家用車が望ましい。入園規制により周辺道路に渋滞はなく、現地駐車場は終日無料で十分な容量がある。河内河畔には隠家のような茶屋やパン工房などが点在し(上掲の沿道案内参照)、車であれば立ち寄ることもできる。国重文の南河内橋や景勝地の皿倉山を巡るのも容易になる。
[北入り] 北九州都市高速道路4号線「山路」または「大谷」ランプ下車、約15分。旧電車通りの大蔵二丁目交差点から県道62号に入る。県道62号に渋滞はなく、交通の流れは非常によい。大蔵から10分あれば現地に到着する。
[南入り] 九州自動車道「小倉南」または「八幡」インター下車、約25分。国道322号または国道211号から県道61号に入り、山間の小集落、田代町で県道62号へ入る。
峠道の県道61号は崖崩れによる片側通行規制が3か所ある(上掲の沿道案内参照)。小倉南インターから向かう場合は2か所、八幡インターから向かう場合は1か所。渋滞の原因にはなるまいが、長閑な山中でカーブの先に信号待ちの車列を見つけて急ブレーキの危険はある。県道62号に工事地点はない。
[通行止め] 公式ホムペにある「黒崎インター近く、市瀬峠の道は土砂崩れのため全面通行止め」は林道市ノ瀬奥田線のことであり、予約制に移行する以前は県道62号の渋滞を回避するための裏道として利用された。現在県道62号に渋滞はなく、林道に利用価値はない。
[駐車場] 現地では係員の誘導に従って駐車場に入る。藤園から遠い駐車場に案内されても嫌がらない。もっとも遠い河内温泉あじさいの湯第二駐車場(徒歩10分以上)は現在利用されていない。駐車料金は終日無料。
2019年は開花時期がばらけたことや、隔年の藤が咲かなかったこと、さらに満開直前の強雨(4月29~30日)の影響もあり、昨年に続いて開花密度が薄く冴えない年になった。満開は5月2~4日あたり。
わたしは地元にある三つの藤園をひとまとめに観察しているが、今年は河内藤園の開花だけが極端に遅れ、河内藤園の出来だけがよくなかった。吉祥寺や千財農園は予想通りに咲き、天気に恵まれて出来もよかった。
おなじみの藤トンネル(大)。撮影は5月1日。藤園は晴れた日の満開がよい。雨に濡れた藤は艶やかというよりは、窄んでまばらな印象が強くなる。バラのような発色の強い花ではないから、乾いて広がらないと色鮮やかにならない。
これは崖にある隔年の藤で、画像を押すと2018年、2017年と遡る。隔年といっても正確に2年周期を刻むのではなく、がんばりすぎると翌年は萌え尽きて咲かない。今年はこういった性向のある藤が示し合わせたようにいっせいに休んだ。2年連続で休むという話は聞かないから、来年は約束された当たり年になる。
今年藤園で一番早い花が咲いたのが4月14日。大取りの白長藤はまだ蕾だ。この短トンネルの白長藤が満開になるころ、河内藤園は閉園の日を迎える。閉園後は直ちに花摘みが行われ、藤園は来年の準備に入る。
2019年3月29日作成、5月12日最終更新
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