2022年05月01日更新
河内藤園の入園には日時指定入園券(コンビニチケット)の購入が必要になる。4月17日(土)~5月5日(水)は、セブンイレブンまたはファミリーマートで入園券(500円)を事前購入し、来園当日に差額の入園料(0~1000円)を支払う二段階方式。
咲き始めや終わりかけなら入園券+当日入園料0円=500円、中間なら入園券+当日入園料500円=1000円、見ごろなら入園券+当日入園料1000円=1500円になる。高校生以下は大人同伴で2名まで無料。4月15日~16日と5月6日は現地で入園券+入園料に相当する金額を支払えば入園できる。
コンビニチケットは来園したい日の来園したい時間(8~10時、10~12時、12~14時、14~16時、16~18時)を選択して購入する。選択するのは来園する時間であり、園内での滞在時間は拘束されない。たとえば8~10時の入園券で10時に入園し、13時まで園内ですごすのは問題ない。いちど退出したら入園しなおすことはできない。
コンビニチケットは3月15日から発売中。早々に売り切れるものではないから、開花状況を見ながら引きつけて買いたい。
2021年の河内藤園は混雑とは無縁になりそうだ。理由は二つある。コロナ渦と開花時期。
河内藤園は来園者の6割が外国人、2割が遠方客、残り2割が地元客と言われる。外国人は大型連休や開花状況に関係なく来園してくれるありがたい存在でもある。今年はその6割が確実に来ない。遠方客は感染再拡大と送迎バス不在で足が遠のく。地元客は例年になく関心が高そうだが、外出を自粛する方もいて結局はコロナ前の水準に戻るまい。仮に大型連休中に見ごろを迎えたとしても全体としてはコロナ前の2~3割の人出と占う。
さらに今年は春の訪れが記録的に早い。桜も早かったが、吉祥寺の藤もかつてなく早い。河内も大型連休前に見ごろを迎えるとみてほぼ間違いないが、地元客というものは地元の行楽地を訪ねるのに仕事を休んで休暇を取ったりはしない。よって、見ごろの時期は来園者不在になるとみられる。
「鬼滅の刃」の聖地巡礼はコロナ前から聞くが、グーグル・トレンドで見る限りは河内藤園の2015年以降の検索数に有意な変化は見られない。昨年の映画人気で来園者が多少増えるとしても、外国人の大穴を埋めるには遠く及ばないと考える。
今年は河内藤園の藤を心行くまで堪能したい方には千載一遇の好機だろう。特に夕方(16時~)は以前の人影まばらな秘密の花園を散策できそうだ。
河内藤園は皿倉山の南斜面、標高240~300メートルの山中にある。園内はかなりの高低差があり、散策路は急勾配で一部が舗装されていない。都心の花公園のように着飾って訪ねる場所ではない。
路面が悪いから登山靴などのしっかりした靴を着用しよう。日が陰ると急に寒くなるから上着を用意しよう。園内で飲食物は提供されないから飲食したい場合は持参しよう。一言でいえば、ハイキングの準備をして出かけよう。持参の弁当を広げてピクニックする場所は園内にある。
園内でカラオケなどの騒がしい行為はしない。動画や写真は必ず手持ちで撮影する。三脚や一脚、スタビライザー、ドローンは使用しない。ペットは同伴できないから連れてこないようにしよう。
便所は臭うので園内から除去された。入園規制前は園内にあったが、来園者激増で悪臭が半径数十メートル先まで漂い、藤の芳香を台無しにした。藤園の主は藤の芳香をとても大切にする方で、屋台の出店を認めないのも臭いが許せないからだという。
第一駐車場の片隅にある仮設トイレは水洗でそのへんのコンビニより清潔に保たれるが、室内が狭くてあちこちに触れるから感染リスクを気にする方は別の場所で用を足してから来園することを勧める。写真の左5基が女子用、右の3基が男子用(和式)。便所の左横に手洗いがある。
桜は一輪の花が咲いたときから花吹雪となって散るときまで美しい。藤もそうかと言えば、残念ながらそうではない。見ごろは満開時の数日に凝縮されるように思う。
2015年の満開は5月2~5日あたりだった。上の写真はその1週間前、4月25日の撮影。藤は花房の上から下に向けて花をつける。咲き始めは小高い丘から見下ろせばきれいだが、藤トンネルや藤棚に入って見上げると寒々した絵になる。藤は芳香が強く、来園者はその香りに感動しながらも、「まだ早かった」と口ぐちにつぶやき、園内を足早に1周して帰ってゆく。
上と同じ場所が5月2日の満開時はこうなる。魔法をかけたような圧倒的な開花量に目を見開く。
そして満開から1週間が経過した5月9日。写真はそれなりに見えるが、花に色つやがない。散らず枯れた花が腐敗臭を放ち、夏草のむっとした臭いが立ち込める。来園者は長居しない。
河内藤園に魅せられて遠方から訪ねようと考えている方には満開時の来園を強く勧める。日程の都合がつかず咲き始めや終わりかけの来園を考えているのなら、いっそ来園を中止して近所の藤棚の満開を探してはどうだろう。藤棚は満開のときに訪れてこそ価値がある。感動に太鼓判を押せる期間は3日程度しかない。
河内藤園の開花状況は当サイトの紹介ページで確認しよう。
河内藤園は市街地からやや離れた北九州国定公園内の山間部にあり、2011年に路線バスが廃止されてからは来街者が気軽に立ち寄れる場所でなくなった。2016年から運行してきた河内藤園無料シャトルバスも今年はコロナ渦を理由に運行が見送られる。
河内藤園への交通手段は自動車が望ましい。自動車以外での来園は本来想定されていない。2016年以降は入園規制により大型連休中も渋滞はいっさい発生しておらず、現地駐車場は十分な容量が確保されている。しかも終日無料。公共交通機関を利用して北九州入りする方にはレンタカーの利用を強く勧める。
[北入り] 北九州都市高速道路4号線「山路」または「大谷」ランプ下車、約15~17分。旧電車通りの大蔵二丁目交差点から県道62号に入る。県道62号に渋滞はなく、交通の流れは非常によい。大蔵から10分あれば現地に到着する。園内で飲食したい方は大蔵で買い物を済ませよう。
[南入り] 九州自動車道「小倉南」または「八幡」インター下車、約22~24分。国道322号または国道211号から県道61号に入り、山間の小集落、田代町で県道62号へ入る。
峠道の県道61号は崖崩れによる片側通行規制がたびたび発生する。渋滞の原因にはならないが長閑な山間でカーブの先に信号待ちの車列を見つけて急ブレーキの危険はある。
[駐車場] 現地では係員の誘導に従って駐車場に入る。藤園から遠い駐車場に案内されても腐らない。もっとも遠い旧あじさいの湯第二駐車場(徒歩10分以上)は現在利用されていない。駐車料金は終日無料。
駐車場は藤園から近い順に案内される。河内藤園第一駐車場(未舗装)→河内藤園第二駐車場(未舗装)→旧あじさいの湯第一駐車場(舗装)の順。
河内藤園第一駐車場は藤園の入口前で利便性が高いがすぐに埋まり、河内藤園第二駐車場(上の写真)に案内されることが多い。しかし河内藤園第二駐車場は雨の日にぬかるむ。クルマや靴が泥だらけになるから、天気がよくない日は係員の案内を待たず自分から旧あじさいの湯第一駐車場に入ってしまおう。
最寄りの河内小学校前バス停は2011年に廃止された。八幡駅発着の56番路線は終点が短縮され、2021年現在は「上重田」行きに。終点の上重田バス停から河内藤園は道なりに3.7キロ、徒歩47分。参考:八幡東区のバス路線図。
上重田バス停以南は景観がよく、県道61号に沿って遊歩道(鱒渕八幡東自転車道線)も整備されている。道中には公衆便所(3か所)や自販機(3か所)もある。普段から歩きなれた方なら準備しなくても歩ける行程だろう。
路線バスの廃止に伴う代替交通として第一交通がおでかけ交通なる乗合タクシーを運行している。運行本数は平日14便、土日祝日4便。運賃は片道400円(大人)。時刻表はこちら。前日16時までに予約を入れる必要がある。
この乗合タクシーを利用する場合は、市内各地から路線バスを利用して大蔵バス停まで行き、大蔵バス停から乗合タクシーの始点となるサンキュードラック前まで徒歩で移動する。サンキュードラッグ前から河内小学校前までは乗合タクシーに乗車。河内小学校前から河内藤園までは歩いてゆく。乗り場の位置は河内藤園沿道案内で確認されたい。
路線バスで上重田まで行き、そこで乗合タクシーに乗り継ぐのが理想的に見えるが、上重田での乗り継ぎは路線バスの本数が少ないため難易度が高い。
乗合タクシーの始点となるサンキュードラック前。サンキュードラッグは閉店後に解体撤去されてなにもない。折しも工事中であり、乗り場の表示板の類いもない。創価学会八幡東文化会館の看板が目印になる。
大蔵バス停からは道なりに約700メートル、徒歩7分。河内小学校前までは乗合タクシーに乗車して約11分。
河内小学校前の乗り場。以前の路線バスの河内小学校前バス停になる。ここから河内藤園は長い坂道を道なりに約950メートル、徒歩15分。
八幡駅から片道約2680円(約20分)、小倉駅から片道約3800円(約30分)。
見ごろ時期になると八幡駅前に河内藤園行きの藤見客が集まる。コロナ前は互いに声をかけて相乗りすることを勧めたが、コロナ渦の現在はそうもいかない。帰りのタクシーは河内藤園シャトルバス乗り場で見つかる。事前に手配する必要はない。
余談になるが、河内藤園は上の写真の真正面に見える皿倉山の裏側にある。
2016年から毎年運行してきた送迎バスだが、今年はコロナ渦を理由に運休する。送迎バスは公共サービスではなく、河内藤園自らがバスと運転手をチャーターして期間限定で運行する無料サービス。多くの来園者が見込めない上にコロナ感染対策も必要となれば、運休となるのはやむを得ない。
あじさいの湯は2018年12月から休業中。運営を引き継ぐ事業者が見つからない。外国人や遠方客に幅広く利用された送迎バスはもうない。
上の地図は市街地から河内藤園までの道のりを示す。県道61号の沿道にある駐車場やバス停の位置、公衆便所、自販機、食事処などの情報は2021年4月11日時点の調査結果を示す。
2020年はコロナ渦で休園して早々に花摘みを済ませた。藤が無駄に体力を消耗するのを防いで十分な休養を与えたことから、2021年は例年以上の咲きっぷりになるのではないかと期待していた。
しかし今年は春の訪れが記録的に早かった。早咲きが4月上旬から咲き始める一方で、遅咲きは例年通り5月にならなければ咲く気がなく、全体としては咲きどきがばらばらでまとまりのない年になった。隔年の藤も咲かない。見ごろは4月24~26日あたり。撮影は4月27日。
おなじみの藤トンネル(大)。取り巻きの木が大きくなりすぎて以前ほどは花をつけないという。ご主人によれば2010年代前半が木が若くてちょうどよかったそうだ。主役になれない若木の藤を魅せるための工夫がトンネルだった。
藤トンネル(小)。なぜここだけがアスファルト舗装なのかとご主人に尋ねたことがあるが、この舗装は藤園の造成当初に張ったものだそうだ。大トンネルなどを後から舗装することはできないという。
大藤棚はトンネルと比較すると年ごとの当たり外れが小さい。安定した大木よりも不安定な若木を狙い通りに咲かせるほうが難しいのだろう。
隔年の藤の代表格。坂道の藤棚から見て北側の崖にある。隔年の藤が咲く年で、早咲きの開花時期が遅れて遅咲きの開花時期と重なると開花量が多い「当たり年」になる。今年は早咲きが前倒しで咲いて隔年の藤が咲かない「ハズレ年」。自然が相手だから思うようにはいかない。
オオデマリの小道。藤ががっかりでもオオデマリは期待を裏切らない。昔はツツジのようだったのに年々巨大化して自分が小人になったようだ。
2021年4月14日作成、2022年5月1日更新
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